有罪評決のバイデン大統領次男はトランプ氏の”因縁”の人物
Japan In-depth / 2024年6月14日 10時53分
樫山幸夫(ジャーナリスト、元産経新聞論説委員長)
【まとめ】
・バイデン米大統領の次男、ハンター氏が銃の不法購入で有罪評決を受
けた。
・氏は、カムバックめざして氏の父と争っているトランプ前大統領が在
任中、最初の弾劾裁判にかけられた際、遠因になった因縁の人物。
・ハンター氏の有罪判決で、バイデン父子にとって、触れられたくない
過去の疑惑が蒸し返される恐れあり。
■ 最長で禁固25年も選挙戦に影響なし?
接戦が演じられている米大統領選は、トランプ陣営が候補者本人、バイデン陣営が次男の有罪をそれぞれ宣告されるという異様な展開をみせはじめた。
バイデン大統領の出身地、デラウェア州の連邦地裁でハンター氏が有罪とされた起訴事実は、2018年に薬物中毒であることを隠して違法に銃を購入した罪。
裁判官による量刑言い渡し日程は未定だが、最長で禁固25年となる可能性があるという。
現職大統領の子弟が重罪で有罪とされたのは初めてというが、ハンター氏への評決が、熱気を増している大統領選に与える影響については、ほとんどの米メディアが否定的だ。
トランプ氏がさきに、不倫相手の元女優に口止め料を支払った際の業務記録虚偽記載で有罪を宣告されたと時も同様だった。
■ 想起される「もう一つのウクライナ疑惑」
しかし、今回ハンター氏の名が大きく報じられたことで、2019年のトランプ大統領時代の1回目の弾劾裁判を思い起こした向きも少なくなかったろう。
当時、報じられたのでご記憶の向きもあろうが、登場人物、舞台装置が、トランプ氏、その〝次〟を伺っていたバイデン氏とハンター氏の父子、ゼレンスキー大統領、ウクライナと、いま世界の耳目を集めている顔ぶれ、場所がそろっていただけに、今一度振り返ってみるのも一興だろう。
トランプ氏の弾劾訴追は、内政に外国政府の影響力を利用して、国家安全保障を危うくしたというのが理由だった。
19年7月、トランプ大統領は、当選直後のゼレンスキー・ウクライナ大統領と電話で話し合った際、ハンター氏が役員に名を連ねていたウクライナのエネルギー企業「ブリスマ」がマネーロンダリングなど多くのスキャンダルにまみれていることに言及。
バイデン氏が副大統領だった2016年、キーウを訪問した際、検察による「ブリスマ」への捜査が息子に及ぶことを恐れて、それを中止してほしいとポロシェンコ大統領(当時)に圧力をかけた疑惑を指摘、積極的な対応を迫ったという。
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