ズレてる都知事選の争点
Japan In-depth / 2024年6月21日 15時0分
安倍宏行(Japan In-depth編集長・ジャーナリスト)
【まとめ】
・東京都知事選、過去最多の56人が立候補。
・マスコミは都知事選に、国政の与野党対立構図を持ち込む。
・都民はそれに惑わされず、都の課題を解決してくれそうな候補者を選ぶべき。
東京都知事選が6月20日に告示された。
過去最多の56人が立候補したとかで、祭り状態となっている。外野がなにを言おうと、都民にとっては、小池都政8年を評価するかしないかが、投票行動の軸であることには間違いない。
さて、一連の報道ぶりをみていて、「ちょっとそれは違うんじゃないか」、と思う点がいくつかある。
ひとつは、争点をミスリードしていること。マスコミは、争点に「政治とカネ」の問題を入れているが、それは国政の話だろう。
地方自治は二元代表制であり、国政とは一線を画す。都知事選に国政の与党vs野党の構図を持ち込むのは、有権者をミスリードする。もちろん、「無所属」を標榜していても、その候補者を各政党がそれぞれの事情で組織的に応援することはある。それなら、与党vs野党という国政選挙の構図と一緒なのだから同列に考えていいじゃないか、と考える人もいるかもしれない。しかし、地方選挙は国政選挙とは異なり、あくまで各自治体の住民のために行うものだ。
国政で問題となっている争点を地方選挙に当てはめるのはおかしいだろう。
例えば、争点として挙がっている「少子化対策」。少子化は全国的なものであり、東京都単独でできることは限られている。東京都の出生率の低さは、東京一極集中に起因するところが大きい。生活コストが高いが故に、晩婚、未婚、非婚などに拍車がかかってる面は否めない。
そうした国レベルの政策の話より、東京都固有の問題を争点にすべきだ。
例えば、「首都直下地震への備え」。東日本大震災の時に帰宅困難者で大混乱に陥った記憶は薄れてきているが、この8年でどのような対策が取られたのか?
また、首都直下地震が起きたら、環状7号線沿いの木密地域に一気に火災が広がり大惨事となることがわかっているが、その対策はなされているのか?さらにいえば、震災時に幹線道路を塞ぐ懸念が持たれている老朽歩道橋の問題や電柱地中化は進んでいるのか?
臨海地区に雨後の竹の子のようにタワーマンションが建っているが、災害時に上階にとり残されたままになる、いわゆる「高層難民」問題対策は?
晴海フラッグの分譲マンションに、転売目的の投資家が殺到した問題。なぜ未然に防げなかったのか、他の物件で同様な問題が起きないようにするためにはどうしたらいいのか?
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