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同床異夢の露朝新条約、危険な金正恩の「誤信」(上)

Japan In-depth / 2024年6月28日 11時8分

 こうした軍事支援のもとで、ウクライナ軍の武力は飛躍的に強化されつつある。ウクライナ空軍は、F16戦闘機をはじめとした先端戦闘機150機(4機種)を確保し、いまやロシア本土への攻撃機会を伺っている。


 一方、プーチンとの首脳会談に臨む金正恩も体制発足以来の危機を迎えている。一向に改善しない食糧危機とチャンマダン世代(MZ世代)の思想意識変化が危機を加速させているのだ。金正恩除去を掲げる反体制組織の動きも明らかになった。


 この危機からの突破口を自身の権威向上に求め、金日成・金正日の遺訓である「統一路線」を放棄し、韓国民を同一民族でないと宣言した。そして金日成を「太陽」の座から降ろし自身が「太陽」の座に座り、金日成・金正日の肖像画の横に自身の写真を掲げた。そしてロシアとの軍事協定締結を「金日成・金正日超え」の業績にしようとしている。


■「朝ロ包括的戦略パートナーシップ条約」は「同盟条約」?


 金正恩国務委員長とプーチン大統領は、金日成広場で開かれた公式歓迎式典に出席した後、6月19日午後、錦繍金山迎賓館で首脳会談を行い、全23条からなる「露朝包括的戦略パートナーシップ条約」に署名した。この条約の注目点は、両国が旧ソ連時代に締結した「同盟条約」と同等かどうかにある。ほぼ同じとの解釈が一般的であるが、よく吟味すると微妙に異なる点がある。


 まず、条約の名称である。今回条約は「包括的戦略パートナーシップ条約」とされ「同盟条約」とはされていない。ロシアが定める最高位の「同盟条約」ではなくワンランク下の条約となっている。(ロシアが「包括的戦略パートナー関係」を結んでいる国には、ベトナム、エジプト、モンゴル、南アフリカ共和国などがある)。


 次にその文面である。1961年に締結された「朝ソ友好協定および相互援助条約」の第1条では「いずれか一方の締約国がいずれかの一国又は同盟国家群から武力攻撃を受け、戦争状態に入つたときは、他方の締約国は、直ちにその有するすべての手段をもつて軍事的及び他の援助を供与するものとする」とされているが、今回条約の4条では「双方のうちいずれか一方が個別の国家または複数の国々から武力侵攻を受けて戦争状態に陥った場合、他方は国連憲章第51条と朝鮮民主主義人民共和国とロシア連邦の法に基づいて遅滞なく自己が保有しているすべての手段で軍事的およびその他の援助を提供する」となっている。軍事介入の条件として「国連憲章第51条と朝鮮民主主義人民共和国とロシア連邦の法に基づいて」が追加され、軍事支援が「直ちに」から「遅滞なく」に変化した。


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