【都知事選、本当の争点】⑥どこにいった?!東京大改革 小池さんの公約に「もっと」必要なもの
Japan In-depth / 2024年6月29日 23時0分
西村健(NPO法人日本公共利益研究所代表)
【まとめ】
・小池候補のキャッチフレーズ「「もっと!よくなる東京大改革3.0」。
・具体性に欠け、目的が曖昧で、現場に寄り添っていない。
・投資対効果、事務事業評価の基本、双方向の対話、説得コミュニケーションなどが課題。
東京大改革3.0を「もっと」進める、らしい。
「もっと!よくなる東京大改革3.0」というキャッチフレーズ。過去の実績をもとに、首都防衛など新たなキャッチフレーズが並ぶ。これまでの小池さんの公約と比較しても、曖昧になった印象である。そして、相変わらずの「推進」「実施」「強化」の文言。方向性としては素晴らしいが、結果、何を目標にするの?と思っている。
▲図【出典】資料「東京大改革3.0」より
■ 評価できる点
首都防衛、そこはさすがである。筆者も何度も書いているが、防災面で非常に脆弱な都市である。経済面にとっても防災に弱いというのは最大のネックである。スイス・リーという再保険会社の調査によると、世界616都市で、洪水や地震、嵐、高潮、津波などで被災するランキング、において、なんと第1位は「東京・横浜(日本)」である。
災害別の危険度ランキングでみても
・地震 1位
・暴風雨 2位
・洪水 6位
・高潮 4位
・津波 1位
という状況である。筆者も連載「東京都長期ビジョンを読み解く」で指摘をしてきた(詳しくは中央防災会議「大規模水害対策に関する専門調査会」を参照のこと)。
特に注意しないといけないのが、利根川首都圏広域氾濫の場合、浸水世帯数約86万世帯、死者約2,600人という数字が想定されている。
▲図 【出典】中央防災会議「大規模水害対策に関する専門調査会」
また、荒川右岸低地氾濫の場合は、浸水世帯数約51万世帯、死者約2,000人という甚大な被害が想定されている。
▲図 【出典】中央防災会議「大規模水害対策に関する専門調査会」
水害だけの例ではあるが、このようにかなりリスクが高い状態になっている。
そのほか、木造密集地域の解消促進、900万人が暮らすマンション防災、新たな調整池などを小池さんは掲げている。この問題をしっかりと認識し、対応していくというところはさすがである。
また、子育て政策をさらに拡大展開していくところ、カスハラ条例など、世論を見た小池氏の成果はさすがである。シェルター整備など保守層への配慮もしつつ、今回、政策を提示してきた。
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