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タイムパラドクス問題の現在(上) 「タイムトラベル論争」も時間の問題?その4

Japan In-depth / 2024年6月30日 12時8分

読者ご賢察の通り、この映画はいわゆるタイムトラベルものの中でも、過去が変われば現在や未来も変化する、との発想に基づく「タイムパラドクスもの」あるいは「歴史修正もの」と呼ばれるジャンルに属する。





この映画では一家族の歴史が変わっただけだが、前にちらと紹介した『バブルへGO』という邦画など、平成初期にタイムスリップした主人公らが、世に言うバブル退治を実現した政策決定を阻止してしまったため、ラストシーンでは東京湾に橋が3本も架かっているなど、ある意味で大変なことになっているものもある。





前に、物理学が発展して相対性理論の検証も進んだ結果、未来へのタイムトラベルは理論上可能だが、過去へと時間を遡るのは理論上も困難である、との学説を紹介した。





こうした学説が開陳されたのは比較的最近のことで、少し前までは過去へと時空を越えることも可能だと考える人たちが結構いたのである。





ごく簡単に述べると、相対性理論が正しいとして、光速で移動できる乗り物が発明されれば、その中では時間が止まるため、タイムトラベルが可能になる。ならば光速を超える速さで移動した場合には、時間を遡ることも理論上可能ではないとされていたのだ。





その場合、前述の映画のように過去に戻った人間の行為次第で歴史が変わる、ということもあり得るので、それは歴史や文化の連続性という観点からよろしくない、として、相対性理論をなんとかして否定しようと試みた学者たちまでいたと聞く。





シリーズ第1回で、今年になってから、量子モデルを用いて「時間の正体」に迫ろうとする研究が一定の成果を示し、検証次第で、2024年は物理学の歴史に特筆されるべき年になる、とまで言われている、と述べさせていただいたのは、話がここにつながってくる。





そもそも時間とはなにか、との議論を突き詰めないまま、タイムトラベルやタイムパラドクスの可能性を論じるなど、後知恵を承知で言えば愚挙でしかなかったのだ。





話をひとまずフィクションの世界に戻すと、タイムパラドクスはあり得る事だとの前提で、それを不正な商取引などに利用しようとする者を取り締まる「タイム・パトロールもの」と称されるジャンルもある。





株やFXから競馬・競輪に至るまで、結果をあらかじめ知った上で、過去にタイムトラベルして投資できれば、それこそ濡れ手に粟の大もうけとなる。これを、SFの世界では不正な商取引と定義するわけだが、歴史を変えてしまうリスクは、金儲けの問題にとどまらない。





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