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過去の暗殺事件、ほとんどが〝理由なき犯行〟 少ない政治的背景

Japan In-depth / 2024年7月14日 21時19分

ウォレス氏は、大統領選継続を断念せざるを得なかったが、知事には1974年に再選された。





■ 投票前日に銃撃された台湾の陳総統





アメリカ国外の例をみると、2年前、奈良県内で参院選の応援演説中に安倍晋三元首相が撃たれ、死亡した事件を直ちに想起する。戦後最大の暗殺事件といわれる。





犯人は、母親が旧統一教会に多額の献金をして生活が困窮していたことから、教会の集会にビデオメッセージを送った安倍氏への恨みを募らせて犯行に及んだ。





当初は今日統一教会トップを狙ったというが実現しなかったという。代わって標的にされた安倍氏こそ気の毒というべきだろう。





1年足らず後の昨年4月には、衆院補選の応援のため和歌山市内を訪れた岸田首相の演説会場に爆発物が投げ込まれた。





首相は間一髪で難を逃れたが、その場で取り押さえられた犯人は黙秘、安倍襲撃事件の模倣犯なのか、動機はいまだに明らかにされていない。





さかのぼって2007年4月の長崎市長選では、4選をめざす当時の伊藤一長市長が、暴力団員に長崎駅近くの選挙事務所前で撃たれ間もなく死亡した。





犯人は公共工事をめぐって市当局に恨みがあったなどといわれたが、殺人を犯すにはあまりに薄弱な動機だった。犯人は無期懲役刑が確定した。





さらに時代をさかのぼると、当サイトでも紹介したことがあるが、1960年の総選挙。公示前、日比谷公会堂で行われた3党首演説会で、当時の日本社会党(社会民主党の前進)の浅沼稲次郎委員長が演説のさなか、演壇に駆け上った右翼の少年に刺され、死亡した。





犯人は、所属する右翼団体の幹部から使嗾され、浅沼氏が悪いと信じ込まされていたというが、収容されていた少年鑑別所で自殺、真相解明はならなかった。





今回のトランプ銃撃事件について中国のメディアがなぞらえたのは、2004年の台湾総統選での現職陳水扁候補の銃撃事件だ。





この時の総統選では民進党の陳水扁氏と中国国民党の連戦元副総統との間で激戦が繰り広げられていたが、投票前日の事件が有権者を動かし、陳総統に有利に運んだとの見方がなされている。





容疑者の男は10日後に湖で水死体となって発見され、動機はいまだに不明だ。





■ バイデン陣営、トランプ攻撃を抑制?





トランプ銃撃に話を戻すと、秋の大統領選で再選をめざすバイデン米大統領は、「誰もが非難しなければならない」と述べて事件の徹底捜査の方針を明らかにした。トランプ氏に見舞いの電話をかけたという。





今回の事件で、トランプ氏に「暴力に屈しない男」との称賛、けがへの同情も強まり、けがをした氏への配慮から、攻撃、非難を抑えざるをえなくなれば、バイデン大統領は不利な状況を強いられる。テレビ討論の不出来で、撤退圧力が強まっていることを考えればいっそう深刻だろう。





トランプ氏にとっては、大きな災いを福となしてますます勢いづくチャンスであり、トランプ優勢、バイデン劣勢の形勢がいよいよ鮮明になるとの見方も広がりつつある。





トップ写真:銃撃後、SPに支えられながらも拳を突き上げるトランプ氏(2024年7月13日アメリカ・ペンシルベニア)出典:Anna Moneymaker/Getty Images




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