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コミュニティの、コミュニティによる、コミュニティのための蒸溜所 ~社会還元型ビジネスモデルを推進するスコッチウイスキー蒸溜所~ その1

Japan In-depth / 2024年7月22日 18時0分

投資額のレベルに応じて特典に違いはあるものの、運営に関する重要な意思決定が行われるメンバー総会での議決権は、投資額の大小を問わず一人一票。実に民主的である。





そして取締役員は、企業経営にふさわしい経験と知識を有するメンバーの立候補者の中からメンバーの投票によって選出される。そのため、投資ファンドなどからの乗っ取りを防止できる。









▲写真 糖化槽・発酵槽が並ぶ仕込みエリアと蒸溜釜のあるスチルハウスを区切る壁には、投資額の大きかった人々の名前が表示されている:筆者撮影





このユニークなビジネスモデルを推進するグレンウィヴィス蒸溜所の発起人は、地元の農場経営者でヘリコプターパイロットのジョン・マッケンジー氏。蒸溜所が建っている土地は彼が所有する農場の一部で、175年の賃貸契約を結んでいる。





ディングウォール周辺地域には、グレンオード蒸溜所やダルモア蒸溜所、インヴァーゴードン蒸溜所、ティーニニック蒸溜所などの蒸溜所が数か所ある。かつてはディングウォールの町でも1879年創業のベンウィヴィス蒸溜所でウイスキーが製造されていたのだが、不況の影響で1926年に閉鎖されてしまった。





そのディングウォールの町にウイスキー造りの伝統を復活させ、地元コミュニティの発展に貢献しようと、マッケンジー氏は2015年にコミュニティ蒸溜所の建設を発案し、シェトランド諸島の小さな蒸溜所から調達したジンをグレンウィヴィスの名で販売してブランド構築と資金稼ぎに励んでいた。





■ 投資者の60%が周辺地域の住民





2016年の最初のクラウドファンディングでは、周辺地域の郵便番圏内の住民に1株50英ポンド(約1万円)で最低額250英ポンド(約5万円)での投資機会が提供され、この郵便番号圏外の住民の場合は最低投資額が750英ポンド(約15万5000円)に設定されていた。その結果、2100人を超える投資者の60%が周辺地域の住民であった。





77日間で260万英ポンド(約5億1800万円)の資金を確保することに成功し、蒸溜所の建設が実現した。









▲写真 2017年11月30日、スコットランドの守護聖人である聖アンドリューの日にメンバーを招いて行われた竣工式 提供:グレンウィヴィス蒸溜所





最低投資額250英ポンドで2017年8月に行われた2度目のクラウドファンディングでは、およそ110万英ポンド(約2億2700万円)の追加資金が集まり、借入依存度の低減とブランディングの強化が可能になった。





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