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コミュニティの、コミュニティによる、コミュニティのための蒸溜所 ~社会還元型ビジネスモデルを推進するスコッチウイスキー蒸溜所~ その2

Japan In-depth / 2024年7月22日 18時0分

▲写真 現在販売されているバッチ01/19は、バイオマスボイラー燃料庫の火災で生産量が激減した2019年に蒸溜されたもの 提供:グレンウィヴィス蒸溜所





2021年には操業開始から3年目にして営業利益を実現するという快挙を成し遂げ、2022年にはドイツ、その翌年には日本、ニュージーランド、オランダへの販路も開けた。





■ 課題は資金繰り





頼もしい躍進ぶりだが、当面の最大の課題はやはり資金繰りだという。





「ウイスキー製造は非常にお金のかかる事業です。莫大な資本を持つ大手グループが後ろについている蒸溜所と違い、コミュニティ蒸溜所であるグレンウィヴィスでは資金が限られています。すべての支出をメンバーに対して説明し、正当化せねばならず、一銭たりとも無駄にはできない。でも品質は絶対に犠牲にしない。ですから、より賢いやり繰りが求められます」とマクリッチー氏。





英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)の影響も厳しい。グレンウィヴィスが輸出を開始したのはブレグジット後の移行期間が終了した2020年12月31日の後であったため、長年EUに輸出してきた他の蒸溜所のように直接的な打撃は被っていない。だが、それまでに準備してきたEU輸出のためのロジスティクスを完全に見直すことを余儀なくされ、短期間で実に多くのことを学ばなけれなならなかったという。





そして、ジンとウイスキーのガラスボトルはすべてEU圏から調達しているため、そのコストはブレグジット前と比べて大きく増加した。それでも国内に適切なソリューションがないのが現状だ。





さらに、ブレグジットに伴う関税・通関の復活は、EU圏内のメンバーの特典にも大きく影響し、コスト上の問題から特典であるジンやウイスキーのボトルを送ることがほぼ不可能になってしまった。そして直営オンラインショップは、英国内の住所への配送のみを対象としている。





■ コミュニティ蒸溜所としての使命の遂行





それでもグレンウィヴィスは、「コミュニティ蒸溜所」としての使命を忠実に遂行している。





教育、文化、起業の分野におけるイニシアチブに資金を提供し、周辺地域の発展に貢献することを目的に、2022年に「グッドウィル基金」を立ち上げた。





オンラインショップでの売上げの5%をその資金に割り当て、慎重な審査を経て選出された上記3分野でのイニシアチブに、これまで総額3万英ポンド(約620万円)の助成金を提供している。





「来年からは、環境問題に関するイニシアチブも助成金の対象となります」とコメントするのは、グッドウィル基金事務局長のジョック・ラムジー氏。





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