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中国の「過剰生産能力」を巡る議論

Japan In-depth / 2024年8月15日 17時0分

ところが先週、米外交専門誌Foreign Affairsの最新号に掲載された「中国の真の経済危機、北京はなぜ失敗モデルをあきらめないのか」と題する論考を読んで、ようやく幾つかヒントが得られた。著者は米外交評議会(CFR)フェローで、中国出身の経済学者Zongyuan Zoe Liuである。





彼女は「多くの重要な経済分野において、中国は自国や海外市場が持続的に吸収できる生産量をはるかに上回る生産」を行った結果、「中国経済は価格下落、債務超過、工場閉鎖、ひいては雇用喪失という破滅のループに陥る危険性」があると分析した上で、これはコロナ禍後の一時的な現象ではなく、中国共産党の伝統的な画一的産業政策に由来するという。党中央の指導の下、各地方政府や企業が最先端ではない技術を使い、手っ取り早く結果(生産量)を出す熾烈な競争を繰り返すため、結果的に国全体としては過剰生産になってしまう、と論じている。





なるほどねぇ、少し見えてきた。「過剰生産能力」についても、ミクロ経済で見れば、各企業・地方政府は自己利益を最大化するため合理的な行動をしている。他方、マクロ経済から見れば、全体としては制御不能の「過剰生産」になってしまうのか。これを経済学では「fallacy of composition(合成の誤謬)」と呼ぶ、と確か昔学んだことがある。





続いては、欧米から見た今週の世界の動きを見ていこう。但し、今週も夏枯れは変わらない。





8月13日 火曜日 パレスチナ大統領訪露、露大統領と会談





8月14日 水曜日 タイ憲法裁判所、収賄で懲役刑の有罪となった閣僚を任命したタイ首相の行為の違法性につき判断





パレスチナ大統領、トルコ訪問(2日間)





スーダン内戦に関する米主導の交渉、ジュネーブで開催





キリバスで総選挙





8月15日 木曜日 イスラエルとハマースの停戦交渉が再開?





8月19日 月曜日 サンマルタンで総選挙





最後にいつものガザ・中東情勢だが、今週の焦点はイランの対イスラエル報復攻撃の有無とそのタイミングである。7月31日にハマース政治部門の最高幹部ハニーヤ氏がテヘランで殺害され、イランがイスラエルへの報復を宣言してから、もう2週間経つ。欧米諸国はイランに「自制」を求めているが、「はい、そうですか」と素直に応ずるイランではない。報復は時間の問題だろう。





真の問題は、報復の「時期、対象、目標の場所、使用する兵器等の詳細」だと先週書いた。あれから一週間経っても大規模な動きがないということは、イラン国内でもかなり意見が分かれているのだろう。下手にイスラエル側に死傷者が出れば、今のイスラエルであれば、何をするか分からない。これがイスラエル流の「抑止」力なのだ。





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