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性別論争の陰に政治的暗闘あり 今から五輪が楽しみ その3 

Japan In-depth / 2024年8月16日 11時5分

 以上を要するに、IBAの側が世界選手権からXY染色体を持つ選手を排除したのは、単にIOCに対する「当てつけ」だったのではないか、と見られても仕方のない面はあるだろう。


 アマチュア・ボクシング界では、このままでは2028年ロサンゼルス五輪では、ボクシングが種目から除外される恐れがあるとして、


「IBAを発展的に解消し、新たな統括組織を設立すべき」


との声も聞かれ、オランダなど複数の国の連盟は、すでに脱退の意向を示していると聞く。


 そうではあるのだけれど、私はやはり、ここは皆が一度頭を冷やして、議論の腑分けをきちんとしなければならない、と言いたい。


 以前この連載で、トランスジェンダーの選手が女子の競技に参加することに対して、私はあえて「規制やむなし」との論陣を張った。


 簡単に復習させていただくと、トランスジェンダーの人権はもちろん尊重されねばならないが、一方で、圧倒的多数であるところの、生まれながらに女性である選手たちからの不満の声に耳を傾けないというのでは、最大多数の最大幸福を求める民主主義の理念に反するのではないか、というのがひとつ。


 いまひとつは、どこかで歯止めを掛けておかないと、将来的に、五輪で勝ちたい一心で性別を詐称したり、性適合性手術を受けるような選手が出てくる懸念もなしとはしない、という理由であった。


 そもそも体重別で、かつ男女別に行われる競技である以上、


「差別と区別は違う」


ということを、皆があらためて理解しなければならない。


 これを延長して考えると、XY染色体を持つ選手と、XX染色体を持つ一般的な女性が同じリングの上で闘うことは、


「不公平かつ危険を伴うものではないと、本当に言い切れるのか」


という疑念について、専門家たちが信頼できるデータを出し合い、一般大衆にも分かりやすい議論をして欲しい。


 IOCとIBAの暗闘など、純粋にスポーツの祭典を楽しみたいと考えている我ら一般人には、どうでもよい話なので、ボクシングに限らずスポーツ界全体のために、本質的かつ建設的な議論に、今すぐにでも取り組んでもらいたい。


トップ写真:女子ボクシング66kg級で優勝したアルジェリアのイマネ・ケリフ選手(2024年8月9日、フランス・パリ)


出典:Photo by Andy Cheung/Getty Images


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