若者全体に共通する危機感・連帯感はどこに?
Japan In-depth / 2024年8月21日 23時0分
第三の見方はより悲観的で、ネタニヤフ首相は、ハマースを殲滅するまで停戦に応じるつもりはなく、停戦後もガザからイスラエル軍を撤退させる気もない、というものだ。現在米国務長官がイスラエル訪問中で、米側からはしきりに楽観論が漏れ聞こえてくるが、状況はそんなに甘いものではないだろう。筆者は第三の見方に近い。
欧米の対イラン「自制」圧力が効いている証拠もない。それどころか、8月18日にはテルアビブ市中心部で爆発事件が発生、1人が死亡、1人が負傷している。しかも、犯人は西岸ナブルス出身者らしく、19日にはハマース軍事部門カッサーム部隊が、同事件はイスラム聖戦運動と連携して実行した「殉教作戦」と発表したそうだ。
もし、こうした自爆攻撃が再開されたのだとすれば、イラン、ハマース側の報復攻撃には今も多くの選択肢があるということであり、まだまだ、楽観は許されないだろう。
要するに、イラン側が対イスラエル報復は「ガザ停戦合意内容次第」と言っても、イスラエルが妥協する気がなければ、いずれ対イスラエル報復は、その「時期、対象、目標の場所、使用する兵器等の詳細」次第で意味合いは微妙に異なるものの、基本的に「報復」自体は不可避となる、ということだ。
以前から申し上げている通り、イランとイスラエルの一方もしくは双方が「誤算」を犯せば、最悪の場合、中東全域での大規模な衝突・戦闘に発展する。その場合、紅海だけでなく、ペルシャ・アラブ湾岸水域までもが戦闘区域となる可能性は否定できない。戦争の多くは「誤算」から始まるのだが、今回もその例外であることを祈ろう。
今週はこのくらいにしておこう。いつものとおり、この続きは今週のキヤノングローバル戦略研究所のウェブサイトに掲載する。
トップ写真:1968年民主党全国大会へ抗議活動の場を移そうと、デモ隊が警察の包囲線を突破しようとしたため、シカゴ警察署の警官が民主党本部の外で反戦デモ参加者と衝突(1968年8月28日イリノイ州シカゴ)出典:APA/ GettyImages
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