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ボストン・ウェルネス通信 その12 GLP-1受容体作動薬、長期的な成功の鍵

Japan In-depth / 2024年9月3日 14時30分

 体重管理は長期的な取り組みです。GLP-1受容体作動薬を定期的な運動やバランスの取れた食事などのライフスタイルの変化と組み合わせることで、その効果が高まります。


● GLP-1受容体作動薬、抗生物質発見みたいなインパクト!?


 ところで、米フロリダ州の脳神経外科医ブレット・オズボーン博士はFOXニュース(7)に「GLP-1作動薬は現代医学の 「聖杯」であり、抗生物質発見と同じようなインパクトを世界の健康に与えることが証明されるでしょう」とコメントしています。


 最近の研究で、2型糖尿病や肥満だけでなく、驚くほどGLP-1受容体作動薬の効果が次々と報告されています。例えば、GLP-1受容体作動薬は2型糖尿病患者の10種の肥満関連がんのリスクを軽減する可能性が報告されました。


 米ケース・ウェスタン・リザーブ大学医学部の研究者らが、2024年8月のJAMA Network Open誌に発表した研究(8)は、全米1億1,300万人の患者の電子カルテから得られたものです。そのうち約170万人が2型糖尿病の治療にGLP-1受容体作動薬を使用していました。これらの患者は肥満関連がんの病歴はありません。研究者らは、比較対象として、インスリン治療を受けた患者を調べました。これらの患者も肥満関連がんの病歴はありませんでした。


 結果、15年間にわたり、GLP-1受容体作動薬は、この研究で評価された13種の肥満関連がんのうち10種のリスクを大幅に軽減しました。インスリン治療を受けた患者と比較して、胆嚢がん、髄膜腫、膵臓がんはそれぞれ 65%、63%、59% 発症する可能性が低くなりました。さらに、卵巣がんのリスクは 48% 低下し、肝細胞がんのリスクは 53% 低下しました。大腸がん、多発性骨髄腫、食道がん、子宮内膜がん、腎臓がんも、GLP-1受容体作動薬を使用している患者では発症する可能性が大幅に低くなりました。


 他、GLP-1受容体作動薬は、心臓発作のリスクを軽減、喫煙やアルコール依存症などの中毒行動を抑える、関節リウマチの再発軽減、パーキンソン病、アルツハイマー病、変形性関節症、非アルコール性脂肪肝疾患などへの効果も示唆されています。


 ところで65歳以上の患者によく見られる問題には、糖尿病、心血管疾患、メタボリック症候群、がん、認知症などがあります。つまり高齢者が肥満を管理することで、それらのリスクを大幅に減らすことができます。それでは・・・


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