与那国町長がアメリカで沖縄県知事批判
Japan In-depth / 2024年9月5日 11時9分
古森義久(ジャーナリスト/麗澤大学特別教授)
「古森義久の内外透視」
【まとめ】
・糸数町長は米国で日本防衛の重要性を訴え、玉城知事の辺野古移設反対を法治否定と批判した。
・また、与那国島の自衛隊の抑止効果を強調し、日米同盟の強化を提唱した。
・玉城知事の中国への批判回避と対照的に、糸数町長は中国の脅威に対する警戒を呼びかけた。
日本防衛の最前線として自衛隊が駐屯する沖縄県与那国町の糸数健一町長が8月末、アメリカの首都ワシンントンで中国の脅威に対する日本側の抑止の重要性を説き、同時に沖縄県の玉城デニー知事が辺野古への移設工事になお反対していることに「最高裁の決定を無視する日本の法治の否定だ」と非難した。日本の国家安全保障と日米同盟の堅持を強く説き、中国の侵略性に警告を発する糸数町長の姿勢にはアメリカ側関係者からも強い同調の意が寄せられた。
沖縄の声といえば、これまでアメリカ側に届くのは、米軍基地、自衛隊基地への反対という骨子ばかりだったが、同じ沖縄でも与那国島からの日米同盟強化をも含む声はワシントンの対日安保政策関係者に新鮮な風を吹き込んだようだ。
糸数町長は米国笹川平和財団などの招待で訪米した。8月30日に国防総省や国務省の米側関係者らとも交流し、与那国島に2016年から駐屯する自衛隊は日本防衛や台湾防衛で抑止効果が高く、日米同盟の効用にも大きく寄与する、という考えを伝えた。米側からも賛意の見解が強く表明されたという。
与那国島は近接の宮古島、石垣島などとともに南西諸島を構成し、日本の最西端の防衛線として注視されてきた。台湾までの距離が約110キロと日本領の中では最短で、中国による台湾や尖閣諸島(沖縄県石垣市)に対する軍事攻勢への対処の拠点となってきた。
沖縄の安全保障問題に関しては歴代の沖縄県知事が独自にワシントンを訪れ、明らかに日本政府の政策に反して米軍基地の存在への抗議を多様な形で表明してきた。アメリカ側は日本の国の政策を一県知事が対外的に否定するという異様な形式への当惑を述べることが頻繁だった。
沖縄県の現知事の玉城デニー氏も2023年3月に独自のワシントン訪問を果たし、「日米同盟は支持する」と前置きしながらも、実際には沖縄での米軍駐留や基地保持、辺野古への移転など日米両国間の合意にすべて反対する趣旨を述べた。
玉城知事はそのなかで「中国の台湾攻撃はまずありえない」と断言する一方、沖縄県の一部である尖閣諸島の日本領海に中国の武装艦艇が頻繁に侵入している事実にはまったく触れず、中国の軍事的な膨張や攻勢を指摘することもなかった。結果として同知事はアメリカと日本の両政府の対中抑止のための防衛力増強には反対の姿勢を打ち出す形となった。
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