HPVワクチン無料キャッチアップ接種、今年度末終了 1回目は9月末までに
Japan In-depth / 2024年9月13日 23時56分
そうしたなか、2021年11月の厚労省の審議会でHPVワクチンの安全性が確認され、子宮頸がんの減少効果も証明されたことを機に、厚労省は積極勧奨を再開した。同時に、8年半の間にワクチンを受けることができなかった17歳〜26歳の女性に対し、キャッチアップ接種を公費負担で行うことを決めた。
しかし、令和4年度のキャッチアップ接種の初回接種実施率は全国で6.1%に留まり、最高でも島根県の10.8%、最低は沖縄県の2.1%である(大阪医師会)。
HPVワクチンは半年の間に3回に分けて接種する。同制度が来年3月に終了するため、第一回目の接種は半年前の今年9月末までに済ませる必要がある。正しい情報を得て自身が接種するか考えるためにも、キャッチアップ接種の効果や意義を把握することが急務だ。
・子宮頸がんとは
日本では毎年約1.1万人の女性が子宮頸がんを発症し、約2900人の命が奪われている。がんの中でも若年層で発症する割合が高いのが特徴で、日本の25歳から40歳の女性のがんによる死亡の第2位は子宮頸がんによるものだ。また、30代までに子宮頸がんの治療で子宮を失い、妊娠できなくなる女性も年間約1000人存在する。
この原因は、主にHPV(ヒトパピローウイルス)への感染だ。性交渉の経験がある女性の内、5〜8割がHPVに感染していると推計されている。ウイルスの約90%が2年以内に自然治癒するが、感染したままにすると一部の人でがんを発症することがある。
これに対し、HPVワクチンによるHPV感染の予防効果は極めて高く、性交経験前に接種した場合はほぼ100%感染を予防することが出来る。性交経験がある場合でも、ワクチンの予防効果は減少するがなくなる訳ではない。つまり、子宮頸がんはHPVワクチン接種を通じ高い確率で防ぐことが出来る病気なのだ。
そこで今回は、「藤沢女性のクリニックもんま」で院長を務める門間美佳医師に、キャッチアップ接種の現状について話を聞いた。
門間医師はHPVワクチンの接種状況に関して「教育レベルに左右されている」と警鐘を鳴らす。
現状として、大学に進学する学生に比べて、定時制高校や通信制高校に通学している学生らの接種率は相対的に低いという。中には県立高校の養護教諭でさえHPVワクチンのキャッチアップ接種について知らなかったというケースもあるのだという。門間医師がそうした学校にアプローチしたところ、教員から「キャッチアップ接種を学校が進めていると保護者に思われると困るからその話はしないように」と言われたことを明かした。
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