なにを今さらキングメーカー(上) 本当に「政治の季節」なのか その1
Japan In-depth / 2024年9月26日 10時50分
林信吾(作家・ジャーナリスト)
林信吾の「西方見聞録」
【まとめ】
・この秋は「政治の季節」で、自民党総裁選と米大統領選が控えている。
・世間の関心は野球に集中しており、自民党総裁選は過去最多の9人が立候補している。
・小泉候補が優勢だが、高市候補が追い上げており、次回の動向が注目されている。
この秋は「政治の季節」と呼ばれている。
国内では自民党総裁選、そして11月には米大統領選挙が控えているからだ。
今月はなにを置いても自民党総裁選……と言いたいところだが、世間の関心はもっぱら野球に集まっているようにも思える。
大リーグにおける大谷翔平選手の記録ラッシュに加え、国内では巨人と阪神を軸にセ・リーグの優勝争いが白熱しているので、まあ無理もない面はあるとも言えるが、それが理由の全てだとも考えにくい。
世に言う60年安保闘争のさなか、当時の自民党首脳陣は、こううそぶいていた。
「安保反対、岸(信介首相=当時)を倒せ、などとデモ隊がいくら叫ぼうが、後楽園球場は連日満員ではないか」
本当に世間の関心を集めているのは、日米安保条約の改定・延長問題よりもプロ野球の巨人戦だ、とでも言いたかったのだろう。が、これはむしろ「そのように考えたかった」という事だったのではないだろうか。
後楽園球場(1987年に閉場し、跡地には東京ドームがある)は、当時3万8000人を収容可能であったと資料にあるが、安保闘争のピーク時には13万人以上(警察発表。主催者発表は30万人)が国会議事堂を包囲するデモに参加していた。
単純に動員数を比較して、どうなるものでもないことは承知の上で、やはり本当に「政治の季節」と呼ぶべきは、このような状況にある時だろう、と考えざるを得ない。
実際問題として、1960年には、大洋ホエールズ(当時)がセ・リーグ初優勝を飾り、都市対抗(実業団)では東芝、高校野球では法政二高が強く「野球は川崎」と諸島されたことなど、今となってはファンと言うより野球オタクと呼ぶべき人たちくらいしか知らないであろうが、その頃に学生生活を送っていた人たちにとって、安保騒動は今でも記憶に留められている。
話を戻して、自民党総裁選には過去最多の9人が名乗りを上げたが、この原稿を書いている21日の時点で、石破茂・元幹事長、小泉進次郎・元環境相、高市早苗・経済安全保障担当相の3人が有力候補とされ、うち2人による決選投票にもつれ込む公算が極めて高いとされている。
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