スリランカで左派系大統領誕生-同国と日本は因縁浅からぬ仲
Japan In-depth / 2024年10月4日 14時28分
中村悦二(フリージャーナリスト)
【まとめ】
・2022年にデフォルトしたスリランカで、2024年9月にアヌラ・クマーラ・ディサナヤケ氏が大統領に選出された。
・大統領は議会を解散し、11月に総選挙を予定している。
・日本などの支援で債務再編が合意され、経済再建が課題となっている。
スリランカは2022年4月に事実上の債務不履行(デフォルト)状態に陥るなど国内混乱をきたした。そうした中、2024年9月21日に大統領選挙が行われた。その結果、新大統領に左派系野党・人民解放戦線のアヌラ・クマーラ・ディサナヤケ氏が就任した。
その翌日、同大統領は議会(一院制、定数225)を解散した。総選挙は11月中旬に実施される。最大の課題は経済再建だ。
スリランカは、第二次大戦後に日本が国際社会に復帰する際、後押しをしてくれた国だ。
1951年のサンフランシスコ講和会議で、セイロン(現スリランカ)代表だったジャヤワルダナ蔵相(後に初代大統領、故人)が、「憎悪は憎悪によって止むことなく、愛によって止む」との仏陀の言葉を引用し、日本を国際社会に迎え入れるよう演説した。この演説は、日本に対し厳しい制裁措置を求めていた一部の戦勝国を動かし、日本の国際社会復帰につながったとされている。
ディサナヤケ政権誕生の経緯
ディサナヤケ大統領誕生の経緯は以下だ。
左派系野党・人民解放戦線が擁立したディサナヤケ党首(55歳)、中道野党・統一人民戦線のサジット・プレマダーサ党首(57歳)、無所属で出馬の中道右派の現職大統領(当時、75歳)のラニル・ウィクラマシンハ氏の三つ巴の戦いとなり、約2年前にデフォルトに陥って以降の緊縮財政路線の是非が争点となった。
そして、ディサナヤケ政権の登場となった。
日本の岸田文雄首相(当時)は2024年9月25日、ディサナヤケ大統領に祝意を伝え、同国の経済危機打開に向けての努力を賞賛。スリランカの早期の経済成長軌道復帰に期待している旨を伝えた。
IMFなど債務再編努力を評価
スリランカがデフォルトに陥ったことは前述したが、この債務に関し、2024年6月末、日本、フランス、インドが主導する債権国会合と中国輸出入銀行との間で2国間債務の再編に関する最終合意がなされた。
スリランカの2国間債務は2024年3月末時点で40の相手に対し、合計105億8,860万ドルと巨額。日本貿易振興機構コロンボ事務所によると、ウィクラマシンハ大統領(当時)は6月末の最終合意について、以下の点を強調した。
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