1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

石破氏「アジア版NATO」構想、内外から疑念の声

Japan In-depth / 2024年10月4日 22時0分

 慶應義塾大学総合政策学部の神保謙教授は、「アジア版NATO」という構想を取り下げるべきだ、と主張し、「石破氏の論理にはかなりの飛躍がある」と断じている。(神保謙Xのポスト 2024年9月28日)


 神保教授は、「アジアに存在するのは日米・米韓・米豪・米比といった二国間の同盟関係で、具体的な規定に差はあるが米国の同盟国に対する防衛を約束(各締約国が自国の憲法上の手続きに従い共通の危険に対処)している。尚、台湾については、米国の台湾関係法(1979)に基づいて防衛目的の武器を供与するが、台湾有事の際の米の「適切な行動」は曖昧化されている」とし、「台湾に対する個別の政策を超え、いきなり「アジア版NATOが不可欠」と主張する根拠は不明」、と指摘した。


 S・ラジャラトナム国際研究大学院の中国プログラム助教授ベンジャミン・ホー氏とシンガポール経営大学政治学教授ウィリアム・A・キャラハン氏は、シンガポールをベースにした英語ニュースサイトCNAに、「だれもアジア版NATOを望んでいない 日本の新首相石破氏以外は」と題した論文で以下のように述べている。


 「石破氏がアジア版NATOを主張する主な根拠は中国の脅威だが、東南アジア諸国の間では中国に対する解釈や見方が異なっている。例えば、マレーシアやインドネシアなどイスラム教徒が多数を占める国では、米国がイスラエルを支持していることから、米国から中国への支持がシフトしている。(中略)ヨーロッパの過去は、必ずしもアジアの将来について多くを語っているわけではない。この地域の国々は、今後もリスクを分散し、自国にとって最善の取引を模索し続けるだろう」。


 こうした内外の批判を当の石破首相はどう聞いているのだろうか?


 石破首相は10月4日、所信表明演説を行ったが、その中には、「アジア版NATO」も「地位協定改定」もなかった。神保教授は「石破論文は僅か1週間で換骨奪胎されたようだ」と批判した。


 総理大臣ともなれば、国益のために自分の思想信条を封印しなくてはならないこともあるだろう。それにしても、総理に就任してわずか数日でこれだけのハレーションを内外に広げているのだから、国民に対してその意図を早急に、そして明確に説明する必要がある。


写真)東京の首相官邸で記者会見を行う石破茂新首相。(2024.10.1 日本 東京)


出典)Photo by Yuichi Yamazaki - Pool/Getty Images


この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください