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米側が苦笑した石破新首相のアジア版NATO案

Japan In-depth / 2024年10月6日 0時25分

 ▽ウクライナがロシアに侵略されたのはウクライナがNATOに加盟していなかったからだ。今日のウクライナは明日のアジアだ。ロシアを中国に置き換え、ウクライナを台湾に置き換えるべきだ。


 ▽アジアにはNATOのような集団防衛システムがないことが戦争を起こしやすくしている。中国を抑止するためには米欧側の諸国によるアジア版のNATOの創設が不可欠だ。


 ▽アジア版NATOは中国、ロシア、北朝鮮の核戦力への抑止を確実にすべきだ。そのためにはアメリカの核のシェア(共同使用)、アメリカの核兵器のアジア地域への持ち込みを考慮すべきだ。


 ▽日本の自衛隊は従来、日本本土への攻撃のみへの対処の軍事行動を認められてきたが、アジア版NATOでは国内法を変えて、他の同盟諸国の防衛にも出動して戦うようにする。


 以上のように石破氏は新首相として日本国内では述べてこなかった重大方針をアメリカ側に向けて発信したのだ。中国を脅威対象とするアジア諸国による集団同盟、日本の自衛隊の他国防衛の戦闘、アメリカの核兵器の日本側との共同管理、そして日本国内への核兵器の持ち込み・・・・いずれも日本の安保政策の基本的な改変となる。そんな構想を国内での議論はもちろん示唆さえもないままにアメリカに向けて表明する。この点だけでも日本国民への根本的な背信行為だといえよう。


 アメリカ側のこの石破構想への反応は、予想通り厳しかった。というよりも相手にしないという対応だった。その実例をあげよう。石破氏が政策報告を送った当の相手のハドソン研究所の日本部の上級研究員ジェームズ・プリシュタップ氏の論評である。同氏は国務、国防両省や国防大学で日米安保政策や東アジアの安保問題を担当してきたベテランの専門家である。


 「アジア版NATOというのは巨大な発想だが、その時期はきていない。いや実現することはまず決してないだろう。インド太平洋地域の戦略環境は多数の国家間の安保上の国益の相違を明示し、NATO的な概念の実現を困難にしている」。


 きわめて丁重な論評だといえよう。日本の新しい総理大臣への礼節をも感じさせる。だがその核心は「決して実現することはない」という明言だった。


 米側の他の専門家たちの反応はもっと直截で厳しかった。ランド研究所のジェフリー・ホーナン日本部長も「非現実的だ」と一蹴した。外交関係評議会のシーラ・スミス研究員も同様に「実現できない発想」と述べた。


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