「これではジェノサイド」自民党議員から上がる悲鳴
Japan In-depth / 2024年10月20日 19時14分
安積明子(政治ジャーナリスト)
「安積明子の永田町通信」
【まとめ】
・時事通信の世論調査で石破茂内閣の支持率は28%と、2000年以来の最低値更新。
・自民党は安定過半数や単独過半数どころか「自公で過半数」の勝敗ラインですら怪しい。
・「これではまるでジェノサイドだ」と、自民党議員から悲鳴が上がっている。
八王子駅前で演説する萩生田光一元政調会長にかぶさるように、「ウラ金 2728万円 萩生田」の垂れ幕が陸橋から降ろされた。10月17日には故・安倍晋三元首相の“秘蔵っ子同志”である高市早苗前経済安全保障担当大臣が応援のために訪れ、19日には20年来の友人である松井一郎前大阪市長が大阪から駆けつけた。
有権者が裏金問題ですっかり嫌気がさしたのだろう。今回の衆院選はよほどの組織力がないかぎり、街頭演説に人が集まらないが、“有名人”を迎えての萩生田氏の演説会には、それなりの人が集まった。
もちろん陣営はこれまでになく必死な様相だ。というのも萩生田氏は今回、自民党の公認が得られていない。
だからもし小選挙区で落選することになれば、比例で復活することは叶わない。もっとも萩生田氏は民主党が政権を獲得した2009年の衆院選で落選を経験しているが、今回は「裏金議員」の批判がずっしりと響いている。さらに「八王子市内に5万票ある」と言われる創価票の離反も気になる。萩生田氏は2022年7月の参院選で、東京都選挙区から出馬した生稲晃子候補(当時)を連れて市内の旧統一教会の施設を訪問したと報じられ、創価学会を激怒させた。
自民党が未曽有の危機にある。自民党は安定過半数や単独過半数どころか、「自公で過半数」という勝敗ラインですら怪しくなっている。時事通信が10月11日から13日まで実施した世論調査では、石破茂内閣の支持率は28%と、2000年以来の最低値を更新した。9月27日の総裁選では「次期衆院選で勝てる総裁」ということで石破首相が選ばれたはずなのに、これはいったいどうしたことなのか。
焦っているのは萩生田氏のような非公認候補ばかりではない。「これではうちの比例ブロックで、自民党は大きく比例議席を減らしてしまうのではないか」――。情勢調査で「優勢」の自民党前職ですら、悲鳴を上げた。自民党が比例区の議席を減らすということは、野党の議席が増えるということだ。仮にそうなれば、この前職がこれまで圧倒的な差を付けて打ちのめしてきた相手候補が比例復活しかねない。
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