「偽装公認」報道で首相「憤りを感じる」→逆効果
Japan In-depth / 2024年10月25日 17時6分
安倍宏行(Japan In-depth編集長・ジャーナリスト)
【まとめ】
・自民党は24日、総裁・幹事長室名で「わが党の支部政党交付金に関する報道について」と題した文書を送付し、一部報道を否定。
・石破首相も報道に対する憤りを露わにしたが、お門違いというもの。
・政権交代選挙の投開票まで3日、有権者はしらけないで投票すべき。
自民党は24日、総裁・幹事長室名で「わが党の支部政党交付金に関する報道について」と題した文書を、衆院選に立候補している各候補者の陣営にあてて送付した。
23日付の「しんぶん赤旗」が、自民党の派閥裏金事件をめぐり衆院選で公認されず、無所属で選挙戦を戦う自民党の前職候補に対し、党本部が、公認候補に支給した支部政党交付金と同額の2000万円を振り込んでいた、と報じたことに対するものだ。赤旗の後追い報道というのも情けない話だが、これは報じないわけにはいかない。右へならえで新聞テレビも一斉に追いかけた。
これに怒り心頭なのが、石破首相。24日、広島市内で開いた街頭演説の中で、「政党の支部に対して、この厳しい中、なんとか自由民主党の公約や政策を分かってもらいたいという思いで政党支部に出しているのであって、非公認候補に出しているのではございません」と主張。「そのような金を選挙に使うことは、まったくございません」と述べ、さらに「このような時期にそのような報道が出ることには、まことにもって、憤りを覚える。そのような報道に負けるわけにもいかない。偏った見方に負けるわけにもいきません」などと演説した。
正直、これは逆効果だと思う。立憲民主党の野田佳彦代表は「憤っているのは国民だ」と反論したが、野党党首に言われなくても、それが有権者の正直な気持ちなのではないか。
で、先の総裁・幹事長室名の文書に戻るが、まさに火に油を注ぐ内容だ。曰く、「『自民党が非公認の候補者に、公認料を出している』かのごとく記事を出し、各種マスコミもこのことを報じております」とした上で「一部ネットでは『#偽装非公認』というハッシュタグまで散見され、各候補の選挙活動中にもこのことを指摘される可能性があるかと考えます」と、自ら、ネット上の批判に触れ、「これまでに報道されている『政治とカネ』の問題とはまったく異なり、なんら法律的、倫理的にも後ろ指をさされるものではありません」として、選挙活動で「そのことを明確にお伝え頂いて結構です」と記している。
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