中国の台湾戦略、そして尖閣戦略は その1 習近平主席が尖閣奪取を命令
Japan In-depth / 2024年10月27日 19時0分
中国側はこれらの艦艇を中国海警局の公船と称しますが、実際は人民解放軍の指揮下の人民武装警察の艦艇です。しかもその背後にはいつも正規の海軍が控えています。中国側のこの明白な攻勢増大の新たな意図はなんなのか」
トシ・ヨシハラ(以下、ヨシハラ)「習近平国家主席が昨年末に中国海警局の司令部を訪れ、尖閣諸島の中国名である釣魚島の名をあげて、『この領土は1ミリたりとも譲れない。その主権を守る闘争を不断に強化せよ』と命令しました。以降、とくに今年に入って、日本側の領海や接続水域への中国海警局の艦艇の侵入と滞在、巡航が頻度を増しています。基本的には中国側としては自国の領土や領海の通常の定期的な巡視というわけです。
このままだと日本側の主権や施政権は着実に侵食され、後退していきます。中国側は近い将来、まず『尖閣の施政権は中国と日本が共同で執行している』と宣言し、その後、『釣魚島はもう完全に中国の領有権、施政権の下にある』と宣言する見通しが強い。中国当局はその『実績』を国際的にも広めるために、個別の艦艇の尖閣周辺での行動をすべて詳細に中国海警局のサイトに発表し、中国側の管理の積み重ねを内外に誇示しています。
中国が尖閣諸島を自国領扱いして、日本側への侵入を続けることは新しくはない。ただし最近の現象としては、その侵入を実行する中国海警局やその背後にいる人民解放軍海軍の物理的な力が大幅に強くなったことです。艦艇の数、規模、ミサイルなどの搭載火力の増大です。日本側の海上保安庁はもちろんのこと、海上自衛隊の戦力を圧倒するわけです。その結果、中国側にとっては尖閣奪取の方法のオプションが増しました。
(その2につづく)
*この記事は雑誌「月刊 正論」2024年11月号に掲載された古森義久氏の論文の転載です。
トップ写真:BRICSの会合に参加するカシムジョマルト・トカエフ大統領、習近平国家主席、サディル・ジャパロフ大統領、プーチン大統領(2024年10月24日、ロシア・カザン)
出典:Photo by Contributor/Getty Images
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