中国の台湾戦略、そして尖閣戦略は その4 斬首作戦もありうる
Japan In-depth / 2024年10月30日 0時3分
古森義久(ジャーナリスト/麗澤大学特別教授)
「古森義久の内外透視」
【まとめ】
・中国は台湾攻略で斬首作戦や核威嚇を使い、米日への圧力を強化する可能性がある。
・核威嚇により、日本やグアムの米軍基地も標的となり得る。
・米国の核報復が問われる中、日本も対応に苦慮する状況になる。
トシ・ヨシハラ「中国側は台湾に対するこの種の複雑な作戦を上陸作戦と組み合わせることもできるのです。これらはみな中国側内部で実際に考えられている選択肢です。
さらに軍事作戦の極端な実例としては、台湾首脳部を標的とする斬首作戦もありえます。この方法は『首を斬る』という表現そのまま、台湾の総統など政治首脳部を狙って抹殺するわけです。その標的が台湾軍の首脳という場合もあります。この方法は米軍がイラクのサダム・フセイン大統領を狙って2002年ごろから手をつけた『衝撃と畏怖』作戦にも似ています。
この斬首作戦はミサイル攻撃でもありうるし、台湾内部にひそんだ『第五列』とも呼べる秘密工作員による暗殺でもありえます。また台湾軍はかねてから中国の影響工作、浸透工作の対象となっており、有事に中国側に協力する幹部も出てくるかもしれない。政治指導部の命令に従わない軍幹部がいるかもしれない。このへんは中国側がかねて推進している心理作戦、軍政離反工作の領域です。
もうひとつ中国が狙うと思えるのは『逆ゼレンスキー作戦』とでも呼べましょうか。ウクライナがロシアの侵略に抵抗してこれほど効果的に戦ってきたのはゼレンスキー大統領という若手ながらカリスマ性にある指導者のお陰が大きいでしょう。国際的な支援をこれほど得た理由でもあります。台湾もその種のカリスマ性のある最高指導者がいるかいないかで、中国の攻略の成否が分かれるでしょう。だから中国としてはその種の人望のある台湾指導者を消そうとするわけです」
古森義久「中国が台湾にそうした多様な手段の攻撃をかけた場合、アメリカや日本は判断が難しいという状況は簡単に想像がつきますね。台湾の総統が突然襲われたが、台湾海峡には異常がない、という場合、それが中国の台湾攻撃なのかどうか。台湾支援の軍事行動をとるべきか否か。簡単な認定はできませんね。日本側での混乱や当惑も想像がつきます」
ヨシハラ「いずれにしても台湾自身が中国への反撃に対して明確に、かつ断固として戦うという保証がなければ、アメリカ側の世論は台湾有事への軍事介入という政策に賛成しないかもしれません。
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