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国民はやはり中道を選んだ 政治の季節の隙間風 その3

Japan In-depth / 2024年10月30日 12時29分

 


もちろん、70年以上の歴史の中では、憲法改正を強く主張する政治家が党内で主導権を握ることもあったが、そうした人たちは、一般に保守よりもむしろ右派と呼ばれていたのである。このように、保守からリベラルまで幅広い人材を擁して、その時々で政治色を変えてきたことこそ、自民党がこれまで総選挙で勝ち続けてこられた、最大の理由であろう。これは私一人の意見ではなく、わが国の政治状況について取材した海外のジャーナリストたちは、多くが同様の見解を開陳している。


 


話を今次の選挙結果に戻して、野党では維新だけでなく共産党も議席を減らした。ただ、こちらについては少々込み入った経緯もあるので、維新と同一に論じるのはいかがなものかと私は思う。


 


もともと自公が大敗したのは、派閥のパーティー券を利用した裏金作りが明るみに出たからだが、そのきっかけは2022年11月6日付『しんぶん赤旗』のスクープであった。当初は、政治資金報告書などを精査した結果、派閥と議員のカネの出入りが合わず、一部が裏金になっている疑いがあるとして、検察に告発したというものだった。そして23年秋からは検察も動きはじめ、現職国会議員が逮捕されるなど与党内を震撼させる辞退となったのである。


 


さらには今次の選挙期間中、やはり『しんぶん赤旗』が、自民党が裏金問題を理由に非公認とした候補者の選挙事務所にも、後任候補と同額の2000万円を振り込んでいたことをすっぱ抜いた。これで自民党がさらに追い詰められた事は言うまでもない。


 


しかしながら、このように政治腐敗を鋭く告発し続けた功績が、同党への支持にまでは結びつかず、逆に改選前の10議席から8議席に減らしてしまった。やはり、共産党という名前には「旧東側」のイメージがあって、有権者の中にある「共産主義アレルギー」は、結構根深いものなのだろう。実はだいぶ前から、ヨーロッパの共産党組織のように党名を変更してはどうか、といった声が聞かれるのだが、同党の刊行物(サイトを含む)を見る限り、今のところその気はないらしい。


 


また、立憲の指導部が交代したこと結果、選挙協力がご破算になったという事情もある。前回、3年前の総選挙では立憲、国民、そして社民党との選挙協力が実現したため、全289選曲のうち候補者を105人に絞って臨んだ。沖縄1区の赤嶺氏を除いて全員が落選したのだが、供託金没収(得票率10%未満)の対象となったのは44人であった。募集された総額は1億3200万円である。


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