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与党過半数割れで示唆されるポピュリズムの影

Japan In-depth / 2024年10月30日 14時56分

与党過半数割れで示唆されるポピュリズムの影


宮家邦彦(立命館大学 客員教授・外交政策研究所代表)


宮家邦彦の外交・安保カレンダー 2024#44


2024年10月28-11月3日


【まとめ】


・ 自公連立の過半数割れを引き起こし、新興勢力の台頭を示した


・「れいわ」や新興保守政党が議席を伸ばし、現状不満層の支持が浮き彫りになった。 


・ 政治の安定に向け、議員はポピュリズムに流されず統治を重視すべきである。


 


 


 


10月27日の日本の総選挙の結果は、ある意味で、多くの読者にとって予想されたものではなかったか。筆者の場合、投票4日前までは、自公連立が何とか(つまり追加公認も含め)ギリギリで233の単純過半数を確保するのではないかと、勿論、確信はなかったのだが、思っていた。


 


しかし、その後、自民党が非公認候補の属する支部に対しても、公認候補と同額の2000万円を支給した、との赤旗の報道が出るに至り、もうこれで過半数すら難しいだろうと「匙を投げ」た。選挙戦最終段階でのこうした「判断ミス」は致命的だっただろう。しかし、今回の大敗の原因は「政治とカネ」だけではなかったと思う。


 


先週は今回の選挙結果が、筆者の「仮説」を証明するか否かに関心がある、と書いた。その「仮説」とは、欧州の「極右」躍進と米国のトランプ現象に似た状況が実は日本でも起きているのでは、というものだ。IT革命と「新自由主義」グローバル化経済に乗り遅れた「忘れ去られた」人々の不満と怒りは日本にもあったと思うからだ。


 


でも、やはり、日本は欧米とは違った。幸い、少なくとも今の日本に欧州の「極右」勢力やトランプのような天才的ポピュリストはいなかった。多くの有権者は立憲・国民の両民主党を「受け皿」に選んだのだろう。されば、日本社会の分断は、欧米のそれよりも、まだ深刻ではないということなのか?そこは、正直、良く分からない。


 


それでも、日本の内政が「欧米化」する可能性はあるだろう。今回筆者が注目したのは、「れいわ」が9議席と、2つの新興保守政党が6(3+3)議席を獲得したことだ。欧州で「忘れ去られた」人々の不満と怒りが「極左」と「極右」に流れたことを考えれば、中長期的には、日本でもこうした傾向が進む可能性はあるのではないか。


 


いずれにせよ、今日本に必要なのは、現役の国会議員が「ポピュリズム」の誘惑に負けず、決して人気は取れないかもしれないが、「統治」の重要さを再認識して、新たな政治的安定に向け議論を尽くすことだろうと思う。この点については今週の産経新聞とJapanTimesにコラムを書いたので、お時間があればご一読願いたい。


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