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中国の台湾戦略、そして尖閣戦略は その5(最終回) 中国の核の脅しと日本の麻痺

Japan In-depth / 2024年10月31日 17時0分

中国の台湾戦略、そして尖閣戦略は その5(最終回) 中国の核の脅しと日本の麻痺





古森義久(ジャーナリスト/麗澤大学特別教授)





「古森義久の内外透視」





【まとめ】





・中国の脅威下における日本の政治的麻痺は、日米同盟にヒビを生む。





・中国が台湾を制圧すれば、東アジアは中国の覇権が顕著になる。





・トランプ前政権の対中政策は強硬で、台湾支援を重視しており、次期政権も基本的には変わらないと予想されている。









 トシ・ヨシハラ「中国による核の脅しという状況での日本の政治的麻痺は、当然ながら日米同盟にもヒビを生みます。現実としてアメリカ側が台湾を支援するために中国と戦う決定を下しても、日本が政治麻痺したままだと在日米軍基地の完全使用も危うくなり、中国軍との戦闘も制約されてしまう。中国側の核の脅しにはそんな効果さえありうるのです。





 その一方、中国はこれまで私が提起した正面からの上陸作戦以外の海上封鎖や斬首作戦、さらには核の脅しを試みても成功しない場合も十分に考えられます。アメリカ側が当初から断固とした抑止策をとることによって、です。その場合、習近平主席はなお正面からの上陸作戦に踏み切る可能性もあります。中国にとって台湾併合は国家的な悲願、核心的課題だからです」





古森義久「しかし、日米両国は万が一にも中国が台湾を取得した場合のグローバルな影響をも考えておくべきですね。最近、ワシントンで著名な国際戦略研究家のウォルター・ラッセル・ミード氏の講演を聞きましたが、中国が台湾を制圧すれば、日本や韓国がアメリカとある程度の距離を置く形で中国に融和的な態度をとり、東アジアは中国の覇権が顕著になる、という警告でした」





トシ・ヨシハラ「同感ですね。中国が平和的な方法でも、軍事手段ででも、台湾を併合し、アメリカがそれに対してなにもしなかったとなれば、アジア全体のパワーのバランスが変わります。中国の覇権が拡大します。日本は対米同盟の効果に疑問を抱き、中国に融和的な接近を迫られるでしょう。しかしいまの世界で中国の覇権下で生きることを望む国はまずいない。





こんな破局的な事態を防ぐためにも、アメリカは中国の台湾制覇を阻止しなければならないのです。それは当然、日本の基本的な国益に資することになります」





古森「そうなるとアメリカ政府の台湾政策がどうなるかが重大ですね。この点、日本側の一部では最近のトランプ前大統領の『台湾はもっと自前の防衛費の負担が必要だ』というコメントへの懸念が向けられています。中国が台湾を攻撃しても、米軍を投入しないのではないか、という懸念です」





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