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「103万円の壁」見直し論議に「社会保障の壁」の議論も

Japan In-depth / 2024年11月6日 11時28分

「103万円の壁」見直し論議に「社会保障の壁」の議論も




安倍宏行(Japan In-depth編集長・ジャーナリスト)





【まとめ】





・自民党と国民民主党は「103万円の壁」の見直しをメインに調整を急いでいる。





・メディアには、減税のメリットより税収減のデメリットを説く論調が多い。





・社会保障の壁をどうするかについても議論が必要だ。





 





自民党と国民民主党は、「103万円の壁」の見直しをメインに調整している。





国民民主の主張は、現在の非課税枠である基礎控除(48万円)と給与収入の額に応じた給与所得控除(最低55万円)の計103万円を178万円まで引き上げるというもの。





国民民主の躍進についてはすでにさまざまな分析がなされている。弊社のインターンの大学生のほとんどが比例で国民民主党に投票したことからも、若者が同党に期待していることがわかる。ある4年生は、「各党の政策を比較して、国民民主の政策なら私たちの手取りが増えるだろうと考え投票した」と、明確に話していた。この学生は保険業界に就職することが決まっている。





「103万円の壁」の見直しについて国民民主の主張はシンプルだ。「年収の壁」の103万円から178万円への引き上げの財源は税収の上振れで賄える、というもの。





しかしメディアには、減税のメリットより税収減のデメリットを説く論調が多い。約7.6兆円超の税収減が財政を毀損し、将来の大増税につながる、というのだ。まるで財務省の代弁者のようだ。





朝日新聞は、「多くの人が減税、税収は激減…国民民主『103万円の壁』対策を試算」(2024年11月1日ウェブ版)で、大和総研の是枝俊悟主任研究員の話として、「規模が7兆~8兆円と大きいため、ただでさえ巨額の借金を抱える国の財政の信認がゆらぐ心配も出るでしょう。将来、増税されるのではないかという不安から、消費が控えられる可能性もあります」などと紹介している。





一方、第一生命経済研究所の永濱利寛氏は、「基礎控除引上げの財源を考える ~インフレ1%あたり▲11~12 兆円の政府債務残高/GDP 押し下げ効果~」(2024年10月31日)と題するリポートを発表。そのなかで、「GDP デフレーターの+1%上昇で、政府債務残高/GDP を▲1.5〜▲1.7% ポイント押し下げる要因になり、これを金額に換算すれば11〜12兆円規模の財政改善要因とな る。こうしたことから、GDP デフレーターベースで+ 0.6〜0.7%のインフレ持続で政府債務残高 /GDP を上昇させずに、基礎控除75万円引き上げ分となる 7.6兆円の財源捻出が可能となる」と主張。 そのうえで、7.6 兆円の減税をしても、それにより経済が活性化することで税収増が見込めることや、年収103万円以内に年間所得を抑制していたバートタイム労働者の労働供給や所得の増加による自然増収効果などから、「丸々財政が悪化するわけではない」としている。





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