「真の敗者」はバイデン氏(上) 「再トラ」ついに現実に その1
Japan In-depth / 2024年11月9日 16時41分
林信吾(作家・ジャーナリスト)
林信吾の「西方見聞録」
【まとめ】
・ドナルド・トランプが大統領選で再び勝利し、132年ぶりの「返り咲き」が話題に。激戦州を制し早期に勝利宣言。
・日本の著名人もトランプ勝利を予測しており、ハリスの多様性アピールが一部層に反発を招いたと指摘。
・ハリスの当選は実現せず、特に黒人労働者層の支持不足が要因とされている。
いささか意外な結果であった。
現地時間の5日に投開票が行われた米大統領選挙だが、ご案内の通り共和党のドナルド・トランプ前大統領が当選を果たした。
8年前に当選し、4年前には再選を狙って果たせなかったが、今回はその雪辱を果たしたわけだ。こうした「返り咲き」の例は、19世紀のクリーブランド大統領以来、実に132年ぶりのことだという。
意外というのはそのことではなく、直前までの世論調査では、民主党のカマラ・ハリス副大統領との間で、史上類例を見ないほど支持率が拮抗しており、
「結果が確定するまでには数日かかるだろう」
という見方が、メディアの大勢を占めていた。もう少し具体的に述べると、3日の段階でも全米平均で、ハリス氏が1.5ポイントほどリードしていたが、これはまあ、誤差の範囲内でしかないし、また、2016年の選挙でトランプ氏が民主党のヒラリー・クリントン女史を破った時もそうであったが、総得票数で上回ったのに当選できない、ということもあり得る。そういう選挙システムなのだ。
今や日本でもよく知られる通り、各州で最多の得票を得た候補者が、その州に割り当てられた「選挙人」を総取りすると言う方式で(一部の州は例外)、270人の選挙人を書くとすれば過半数=当選となる。
なので、即日開票の結果だけでは勝敗が確定しないのでは、と見る向きが多かった。
日本での事前投票に当たる、郵便投票の結果が判明するまでに時間がかかることや、州によっては得票率の差が一定以下だった場合、集計のやり直しが法的に義務づけられていることなどがその根拠で、上記の予測に疑義を挟む人はあまりいなかった。
しかしながら蓋を開けてみれば、激戦州と称された7州のうち5州でトランプ氏が早々と「当確」を出し、現地時間の6日未明(日本時間の同日午後)には、支持者を前に、
「我々は歴史を作った」
と勝利宣言を行った。
日本でも幾多の著名人が予測を開陳していたが、メディアを通じて、
「トランプ氏が勝つ」
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