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フランスで急速に進む少子化の衝撃

Japan In-depth / 2024年11月18日 17時0分

フランスは、第二次世界大戦が終わってから高い合計特殊出生率を維持しており、1965年には2.82まで上がった。だがそれも長くは続かなかった。特に1970年代に女性解放運動が起こり、女性の社会進出がすすみ1975年には女性の就業率が59.3%となるとともに、出生率の方はどんどん下がっていった。その結果、1994年には1.65まで低下したのだ。


ところが、その後、合計特殊出生率は徐々に増え2000年に1.88、2010年には2.03にまで回復した。これが「フランスは政府や自治体が、手厚い経済支援や幅広い子育て支援策をして成功した」と言われる理由である。こういったフランスの政策により、女性一人当たりが生む人数が増加したのだ。しかしながらこれも長続きはしなかった。最終的には2010年がピークとなり、2011年以降、2021年を除いて、合計特殊出生率も毎年減少しているのである。


 


■なぜ、これほどまでに出生数が減少しているのか


出生数が減少した原因は複数ある。もっとも大きな理由の一つは、出産適齢期の女性の人数が少なくなっているからだ。そして二つ目は出産年齢の高齢化。1974年には平均的な女性は23歳半で第一子を出産したが、現在は29歳になり、合計特殊出生率が減少した原因の一つになった。


出産年齢が上がった理由は、女性の平均学習期間が大幅に伸び、キャリアを考えるようになったためであると指摘されているが、エクス・マルセイユ大学の社会学者で講師のカトリーヌ・スコルネ氏によれば、それ以外にも若い世代が将来を悲観しているからだと説明する。


2023年の出生数は、2022年と比べると、25歳から29歳の母親では-7.4%、30歳から34歳の母親では-8.6%、35歳から39歳の母親では-4.2%、40歳以上の母親では-5%となっている。この数字から見ても、明らかに若い層は子供を産むことをためらっているが、反対に35歳以上で子供を産む人が増えていることがわかる。


フランスは、先ほども述べたように、子育てと仕事の両立を目指し1990年ころから政府や自治体による手厚い経済支援や、幅広い子育て支援策が行われてきた。ベビーブーム世代が生んだ子供の人数は多い。そのため、手厚い政策は2010年前後にそのベビーブームで生まれた子供たちを後押しするのに成功し、それなりに出生数、出生率を回復できた。しかし、手厚い支援が充実し、子育てと仕事を両立できるようになったのにもかかわらず、またもや出生率が減少しはじめているのだ。その理由は、女性の社会進出だけが原因ではないとスコルネ氏は考えている。


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