フランスで急速に進む少子化の衝撃
Japan In-depth / 2024年11月18日 17時0分
「若い世代はおそらく自分たちの将来についてかなり心配しているのです。家族を築くには希望を持たなければなりません。」
高インフレなど不確実な経済状況や、ウクライナや中東の戦争状況、さらには地球温暖化が「将来の不安」を生み出し、子供を持ちたいという欲求を鈍らせている可能性があると彼女はいう。
また、「個人の解放」についても言及する。現在は昔と違って願望も変化してきており、自分がしたいことを優先させるために自由にいることを好む人たちもいる。そのため、子供を減らすか、まったく持たないと選択する人もいるのだ。
「高学歴の女性は、母親業以外でも自分を最大限に発揮し、他の個人的な分野や仕事上の分野に打ち込むこともでき、充実しているのです。」
社会からの束縛もなく、能力も十分ある場合、子供を産むことは単なる選択肢の一つとなる。しかし、それを選択することで未来が明るくなるのであればもちろん選択するが、希望が見えなければ選択する理由が見いだせなくなるのは当然のことだろう。
■社会情勢も直結する出生数と出生率
日本では、フランスは子供が多く生まれる国としてしられており、その背景には政府や自治体による手厚い経済支援や幅広い子育て支援策があると言われてきた。しかし、その説明とは裏腹に、現在フランスでは、2011年から出生数、出生率とともに減少し続けている。出生数、出生率減少が止められなかった理由には、出産適齢期の女性の減少、キャリア形成、家庭内経済、社会情勢、個人の選択、家庭を持つ意味の変化などなど、多様な理由が存在する。こういった状況を打開すべく、いかに子供を産みたくなる社会にしていくかが求められている。
ただ、これだけは言えるのは、人は幸福になることを求めているということだ。まず、選択する場合、自分が幸福を感じるものでなければいけない。例えば、「30歳超えたら子宮摘出」とか、「女性は18歳から大学に行かさない」「25歳を超えて独身の場合は、生涯結婚できない法律にする」など、そんな暴力的な言葉が普通に飛び交う世界では不幸になる未来しか見えない。そんな状況で、誰が子供を産む選択をするだろうか。また、誰かだけが幸せになってもいけない。男女のカップルであれば、女性および男性ともども幸福にならなければいけないのだ。幸福感を得られない状況では、子供を積極的に生んで育てていく選択は難しくなる。また、経済状況に不安がある場合も同様である。その結果、若いカップルの中には子供を産む選択を躊躇する人もでてくる。
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