トランプ氏はなぜ勝ったのか ドーク教授の分析 その1 文化の戦いはなお続く
Japan In-depth / 2024年11月26日 17時1分
古森義久(ジャーナリスト/麗澤大学特別教授)
「古森義久の内外透視」
【まとめ】
・今回の米国大統領選挙でのトランプ氏勝利は、保守主義の長期的勝利とは言えない。
・米国の政治社会の動向を理解する上では、キリスト教徒数の減少という変化に注目する必要がある。
・現在、米国内では文化戦争の真っ只中である。
アメリカの大統領選挙でのドナルド・トランプ前大統領の勝利はなにを意味するのか。その結果、アメリカの内政はどう変わるのか。アメリカの対外政策はどう変化するのか。日本にとっての意味はなにか。こんな諸点をアメリカの政治学者でジョージタウン大学教授のケビン・ドーク氏に長時間のインタビューで見解を尋ねた。
日本の思想や政治をも専門領域とするドーク氏はシカゴ大学で政治・歴史の博士号を取得して、アメリカ、日本両国の大学数校で教鞭に立った後、2002年からワシントンのジョージタウン大学東アジア文化言語学部の教授となった。同学部の学部長をも歴任した。
ドーク教授は今回の大統領選の結果をアメリカの長い歴史でも特筆される重要な曲がり角と位置づけて、大局的な見地から詳しく語った。
以下そのドーク教授の見解を一問一答の形で紹介する。
▲写真 ケビン・ドーク教授 出典:Georgetown University
古森義久:「2024年のアメリカ大統領選挙は周知のように共和党のドナルド・トランプ氏の圧勝に終わりました。この結果はトランプというきわめてユニークな政治指導者の魅力やパワーの勝利というだけでなく、アメリカという国のあり方をめぐって、保守主義とリベラリズムの争いが展開れ、保守主義により多くのアメリカ国民の支持が集まったともいえそうですね」
ケビン・ドーク:「まず2024年のアメリカ大統領選挙についての意味を理解するための背景に関する私の考えを述べさせていただきます。ドナルト・トランプ氏が勝って、2025年1月にはホワイトハウスに戻ることになりました。すでに保守系の分析者たちはこの結果を民主党に対する決定的な勝利として祝い、アメリカの保守陣営にとっては長期の進出だと評価しています。私は彼らが正しいことを祈ります。
しかし、この展望は多くの政治的分析がそうであるように、浅薄すぎて、短期の視点であるかもしれません。
アメリカの人口動態の変化のより深い構造的な分析は、いまのアメリカが今後数十年にきわめて大きな、しかも好ましくない変化を体験することを示しています。今回の選挙の結果は、この変化の最悪の部分を少なくとも数年は先延ばしにできるという見通しへの希望を抱ける点が最善のことだといえます。
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