1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

トランプ氏はなぜ勝ったのか ドーク教授の分析 その1 文化の戦いはなお続く

Japan In-depth / 2024年11月26日 17時1分

いま重要なポイントはトランプ氏が全米総得票でハリス氏の7300万票ほどに対して7700万票をも得たことです。この点はきわめて印象に残る出来事です。トランプ氏は共和党では20年前の二代目ジョージ・ブッシュ大統領以来、初の総得票の獲得者だということです。とはいえ、この総得票数の今回の差はわずか3.6%ほどです。アメリカは依然として分裂した国なのです」





古森:「なるほど。目前の共和党の勝利が決して保守主義の勝利と決めつけるわけにはいかない、ということですね。保守とリベラルの対立はなお続く。政治面での分裂も続いていく、ということですね。しかしその一方、ご指摘のとおり、トランプ氏の勝ちっぷりはみごとですね」





ドーク:「今回の選挙の結果はトランプ氏の独特の政治的技量と、ハリス氏の政治的な能力欠如、個人の魅力の無さの結果かもしれません。トランプ氏のこの技量は安倍晋三氏が野党の立場から政権を奪い返した際の技量に似ているという気もします。だから、トランプ氏が次の任期を終えた後の選挙では、共和党が民主党に勝つという可能性も確実ではないわけです。





重要な点は、アメリカ社会が変わり続けており、その変化の方向は同じ。つまりはキリスト教への敵対的な態度が増すという方向です。その理由は、キリスト教徒の数が恒常的に減り、少数派になるという方向への変化です。このキリスト教信者の数の減少こそ、アメリカ国家のより広い政治や社会の変化を理解するうえでカギとなります。日本側でも、日米関係の展望を理解するためにはこの点に注意を向けることが必要になります」 





古森:「今回の結果はトランプ氏の魅力や手腕に加えて、民主党側のハリス候補の弱点も大きな要因になったということですね。確かにハリス氏の政策のフリップフロップと評された逆転反転、そして副大統領としてのあまりにお粗末な実績など顕著でした。しかし、トランプ氏の勝利が同時に保守主義の、少なくとも長期の勝利とはいえないという点、重要ですね。しかし、アメリカ国内のキリスト教信徒の減少が政治思潮の変化の指針となるご指摘は興味深いです」





ドーク:「さらに詳しい説明として、まず私はいまのアメリカが文化の戦争の真っただ中にあることをお伝えしたい。国家がその内部で文化面の戦いを展開しているという点では、ある意味での内戦とも呼べるでしょう。内戦というのは多くの種類の戦争のなかでも最も邪悪な戦いだともいえます。





文化戦争もその邪悪な特徴を持っています。容易な方法ではその戦いが終わらないのがその特徴です。領土をめぐる戦争のように地面に線を引き、停戦を実現させることはできません。朝鮮戦争が38度線で線を引き、戦闘を止めたという場合とは違うのです」





(その2につづく)





トップ写真:ドナルド・トランプ氏選挙の夜イベントにて(2024年11月6日ウェストパームビーチ)出典:Photo by Chip Somodevilla/Getty Images




この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください