金正恩体制は激変期を迎える【2025年を占う!】北朝鮮
Japan In-depth / 2024年12月25日 23時0分
北朝鮮ではすでに2022年、住民の申告義務を既存の「反体制的要素」から「日常的社会生活全般」に拡大したが、それを一層強化した。住民の反発を和らげるために、20×10などという現状を考慮しない地方振興策を打ち出したがその展望は不透明だ。
2024年に金正恩が進めたこれらの政策は、これまで北朝鮮が守ってきたアイデンティティを否定するものだったと言える。金正恩は今、金日成、金正日までの北朝鮮を根本から作り変えようとしているようだ。しかし、それが成功するかどうかはわからない。
■ 金正恩体制を取り巻く2025年の不透明要因
世界は新冷戦という時代を迎え、いま金正恩体制を取り巻く状況もますます複雑化し、不透明化している。
金正恩体制にとっての不透明要因はまず、ロシアのウクライナ侵略の変化する状況であり、ウクライナ戦に動員された北朝鮮兵死傷者の増加だ。
博打とも言える金正恩のロシア派兵は、プーチンが勝利を収め金正恩との約束を忠実に守れば、起死回生の起爆剤となる可能性がある。それとは反対にプーチンがウクライナを攻めきれず、米次期大統領のトランプに主導権を握られるようなことがあれば、金正恩体制は大きく揺らぐことになるだろう。すでに、北朝鮮国内にはロシア派兵の将兵がウクライナ軍の攻撃で大きな被害を被っているとの情報が入りつつある。
金正恩体制にとって次の不透明要因は、トランプの韓半島(朝鮮半島)政策と中東情勢だ。
トランプ次期大統領は選挙過程で、金正恩との対話に前向きな姿勢を示してきた。しかしそれがアメリカファーストに繋がらなければ、一転、対金正恩強硬策に転ずる可能性は否定できない。トランプが、直接強硬策に出なくとも、プーチンとの「取引」を通じて間接的に圧迫をかける可能性もある。
トランプは、ウクライナには距離をおいているが、中東ではイスラエルを支持し、ロシアが支援するイランや反イスラエル勢力には厳しい政策をとってきた。シリア政権の崩壊で中東での足場はイランだけとなり、金正恩の中東政策には暗雲が立ち込めている。金正恩がこの絡まった糸を解きほぐすには、巧みな外交戦略が必要なのだが、今の北朝鮮にはそのような外交戦略を構築できる力はない。
3つ目の不透明要因は、韓国の政治混乱だ。
12月3日、韓国の尹大統領は戒厳令を公布して、大統領府と内閣を麻痺させる国会と、民主主義を揺るがす不正選挙操作の疑いがある選挙管理委員会に軍隊を派遣した。同日、国会の議決に従い戒厳令を解除した尹大統領に対し、国会は「反乱」の容疑で14日に尹大統領弾劾訴追案を可決した。現在、尹大統領は反乱罪容疑でも捜査を受けている。もしかしたら、5月頃には大統領選挙があるかもしれない。
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