金正恩体制は激変期を迎える【2025年を占う!】北朝鮮
Japan In-depth / 2024年12月25日 23時0分
そうなれば、北朝鮮と通じる李在明・共に民主党代表が大統領となる可能性がある。韓国の外交政策は、親中、従北朝鮮、反日、反米へと大転換する可能性が高くなる。それはそのまま金正恩が最も恐れる米韓日連携強化策の弱体化を意味する。これは窮地に陥っている金正恩にとって願ってもない「恵みの雨」となるに違いない。
しかし、尹大統領の弾劾を憲法裁判所が却下すればこの流れは逆転する。選挙違反の罪で第1審懲役刑を宣告された李在明は、6ヶ月内に最高裁で罪が確定する可能性が高い。そうなると大統領選立候補が不可能となり、進行中の5つの裁判でも有罪となる可能性が高まる。韓国の従北朝鮮勢力は計り知れない打撃を受けるだろう。共に民主党も分裂する可能性が高くなり、金正恩の対韓国政策は大きな困難に直面する。
4つ目の不透明要因は、金正恩の国内引き締め政策の行方だ。
ロシアのウクライナ侵略が成功し、韓国での従北左派政権が登場すれば、北朝鮮への経済支援は復活し、金正恩が打ち出した「統一放棄」「韓国遮断」政策への住民の反発感情は、和らぐ可能性がある。そうなれば金正恩の求心力は高まり、本格的な金正恩時代が到来するかもしれない。
問題は、チャンマダン(市場)世代と言われる北朝鮮のMZ世代の動向だ。もしも金正恩が2024年に行った路線の大転換が裏目に出れば、逆風が金正恩を襲うだろう。金正恩は北朝鮮住民の不満を抑え込むためにさらなる統制と弾圧の強化に踏み込まざるを得なくなる。その時、若者世代を中心とした反金正恩行動が、新たな動きを見せるかもしれない。
■ 2025年の北朝鮮主要動向予測
2025年の内外情勢は、金正恩にとって有利な局面も不利な局面も一瞬の内に反転する状況となっている。
まず注目されるのは、年末に開催が予定されている党中央委員会総会だ。そこで、現情勢を分析評価すると思われるが、どのような対応策を示すのかが注目される。方向を間違えば大きな代償を払うことになる。もしかしたら朝鮮労働党第9回大会の展望を明らかにするかもしれない。
対外的には朝ロ関係の成果を誇示すると思われる。また韓国の尹大統領弾劾を煽り、李在明政権創出を試みるだろう。韓国を第一の敵国として遮断した路線は継続すると見られるが、突然沸き起こった尹大統領弾劾という「恵みの雨」を最大限利用するのは明らかだ。これまでとは違った形での関与策が予測される。
国内的には、国民の不満を和らげる食料確保と地方発展20×10政策推進する一方で、チャンマダンや住民生活への統制強化に引き続き力を注ぐだろう。特には青少年世代への韓流の遮断と思想教育強化には特段の対応をすると見られる。
その一方で、ロシアとの軍事協力のもと「国防5か年計画目標達成」に全力を傾けると思われる。そして何としてでも軍事衛星の成功をもたらそうとするだろう。こうした主要課題を朝鮮労働党創建80周年に向けた課題達成動員の中で進めるに違いない。
来年1月に予定されている最高人民会議にも注目する必要がある。そこで昨年なし得なかったと見られる憲法条文の全面的改正が行われる可能性がある。注目されるのは、祖国統一路線を金日成と金正日の功績と称えた憲法序文の変更と、特に南北を2国家とするための領土確定条項だ。
どちらにせよ、2025年は金正恩体制が激変期を迎えることは間違いない。当然日本への影響は、これまでとは質的に異なる重大なものになるだろう。
トップ写真:北朝鮮、金正恩総書記(2024年)出典:Contributor/Getty Images
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