1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

フランスRSA改革で社会復帰を促進 就職活動義務と支援強化

Japan In-depth / 2025年1月7日 18時3分

この週15時間の就職活動義務は、2024年にはすでに7万人以上が試験的に体験しているが、結果はおおむね良好であった。





「(過去12カ月間に実験の恩恵を受けた)RSA受給者の54%は、ある時点で職を見つけ、90%が支援に満足しており、50%が非常に満足しており、支援は受給者に全体的にプラスの効果をもたらしていることがわかっている。支援を受けた受給者は『自信と行動力の向上』が見られ、同様に『権利を求めることや健康に取り組むことへの壁が取り除かれる』ことが確認された。」





一方で、週に15〜20時間の活動という目標には検討の余地があることもわかっている。なぜなら、就職することが比較的たやすい受給者はこの目標時間を達成するのは簡単だが、より困難な立場の受給者には難しい場合もあり不平等ともいえるからだ。このことは受給者との信頼関係に影響を与えたり、場合によっては受給者がRSAを断念することにもつながっていく。また、分野によってはこの方法が不適切な場合もある。例えば自営業を目指す場合、どこまでを就職活動ととらえるかは判断が難しい場合もあるという。





こういった問題点は、今後、この改革が運用されながら必要に応じて改善されていく予定だ。





なお、この強化された支援にかかる平均費用は提供される支援の種類によって、受給者一人当たり600ユーロから1200ユーロであり、「特定の問題」を抱える人の場合は4000ユーロにまで上昇する可能性があり、受給者の状況により支援の負担は大きく変わることは言うまでもない。





■ 社会復帰できるフランスに





フランスにおいても、日本でいう生活保護であるRSA受給についての意見は二分化している。「必要なシステム」と考える人もいれば、「受給者は怠けもの」と批判する人もいる。しかしながら、フランスは、日本に比べると圧倒的に社会的弱者に対する支援が不足しているという問題があるのは事実だ。それは、RSAだけに限らず、義務教育機関でも同様でフランスのシステム全体がそうであったと言える。





例えば、中学校では学校の規則や勉強についていけなければ退学させられ、いろんな学校をたらいまわしにされる。その結果、子供たちが自主的に退学していくという問題もあった。卒業資格もなく職業技能も身に着けていなければ就職もできない。就職もできなければ貧困に陥る。これがフランスの失業率が高い原因にもなっていたのだ。





それでももちろん何も支援してこなかったわけではない。RSAのような金銭的な援助があったことは間違いない。しかし、ただ生きるのに必要な最低限のお金が渡されたからといって、仕事を探す方法がわからない場合は状況を変えることもできないのだ。なにをすればいいのかがわからないからこそ、社会から排除された存在として生きることになっていたともいえる。





この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください