石破総理とトランプ大統領 歴代首相が示す教訓
Japan In-depth / 2025年1月20日 21時0分
藤崎一郎(日米協会会長)
【まとめ】
・日米首脳関係がよかったのは、中曽根ーレーガン、小泉ーブッシュ、安倍ートランプ。
・うまくいった理由は、国内の掌握、対米協力、人間関係。
・総理の職にある人をたてていくことが国益だ。
石破総理がトランプ大統領とうまくつき合えるかという声がある。理屈好きの石破さんが直感派のトランプ氏とウマが合うかという心配である。安倍元総理のようにトランプ氏のフトコロに入り込めるかという人たちの多くはかつて安倍氏の振る舞いは恥ずかしいと言っていたものだ。
日米首脳間でわれわれの記憶にある特に良いと言われた関係は三つだろう。中曽根康弘総理とレーガン大統領のロンヤス、小泉純一郎総理とブッシュ息子大統領、そして安倍総理とトランプ大統領だ。この三つがなぜうまく行ったか見てみよう。
一つは、これらの総理は日本国内の基盤をしっかり持っていた。中曽根総理は行革をやり、後継者指名をできるほど党内を掌握した。小泉総理は造反議員を選挙で公認しないだけでなく刺客をたてるほどの厳しい姿勢で党内を抑えた。
安倍元総理も国政選挙に六連勝し最大派閥の領袖として党内を仕切った。トランプ第一期大統領がまともに相手にしたのは、国内を圧倒的に抑えていた外国の強いリーダーであった。
石破総理の場合、これからの選挙を経て強い基盤を作ることが期待される。
二つ目は、これら3名の総理はこうした国内での力を背景に米国と政策面の協力をした。中曽根総理時代は日米貿易摩擦の時代だった。米国の貿易赤字の5割以上を対日貿易が占めた。日本は半導体、牛肉オレンジなどで米国に譲歩し、中曽根総理は例外的にテレビに出演して自らチャートを使って国民に輸入を呼びかけた。結果的にソ連崩壊に寄与したレーガン大統領のSDI計画(戦略防衛構想)をサッチャー英首相とともに支持した。米国に譲っていただけではない。西欧がSS20というソ連の中距離核ミサイルを欧州からシベリアに移動させようと米国に画策したとき、西側の安全保障は一体だとレーガン大統領に説き、移動阻止に成功した。
小泉総理時代に大きかったのはイラク戦争支持だろう。独仏が反対する中でブレア英国首相とともにブッシュ大統領を支持した。さらに湾岸戦争の対応への反省もあり、陸海空の自衛隊を後方支援に派遣した。この場合も米国にサービスしただけでない。小泉総理の北朝鮮訪問に米国が反対しなかったのは、両首脳の信頼関係があったからだろう。
-
- 1
- 2
この記事に関連するニュース
-
石破首相「まあ~メークアメリカグレートアゲインそのもの」トランプ氏就任演説の感想コメント
日刊スポーツ / 2025年1月21日 11時4分
-
トランプ2.0、日本の外交は急カーブ―仏メディア
Record China / 2025年1月21日 11時0分
-
トランプとの関係も微妙「石破政権」の崖っぷち感 24日に始まる通常国会で存在感を示せるか
東洋経済オンライン / 2025年1月20日 10時0分
-
トランプとの首脳会談を控え麻生太郎に教えを請うた石破茂は、“夜の戦友”アーミテージと手を切れるのか
日刊ゲンダイDIGITAL / 2025年1月5日 9時26分
-
「総理在職日数ベスト10」で振り返る"昭和100年" 3位は吉田茂、2位は佐藤栄作で…1位は?
東洋経済オンライン / 2025年1月4日 8時1分
ランキング
-
1元同僚の下半身に鉄棒か、暴行も=塗装会社社長ら3人、3度目逮捕―警視庁
時事通信 / 2025年1月29日 11時39分
-
2ぶるっ… 沖縄・国頭村奥で9.2度 来週は「10年に1度レベルの寒さ」となる見込み
沖縄タイムス+プラス / 2025年1月29日 8時28分
-
3公明党また自民党に反旗!裏金事件で有罪確定の旧安倍派会計責任者「参考人招致」に賛成の狙い
日刊ゲンダイDIGITAL / 2025年1月29日 10時32分
-
4「お前が悪いのに被害者ヅラするの?」 交際中女性に土下座強要&暴行「殴っていはいない」札幌
STVニュース北海道 / 2025年1月29日 7時58分
-
5陥没にトラック転落、救助難航 埼玉・八潮、74歳の安否不明
共同通信 / 2025年1月29日 10時14分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください