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12月の米雇用統計、新規雇用者数は25万6,000人増、失業率は4.1%に低下(米国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2025年1月14日 13時0分

添付資料PDFファイル(196 KB)

米国労働省は1月10日、12月の雇用統計を発表した。雇用者数の強い伸びや失業率の低下など、予想を上回る堅調な結果となった。

就業者数(前月差47万8,000人増)、失業者数(同23万5,000人減)、労働参加率(62.5%、前月と同水準)を踏まえた失業率は4.1%と、前月から0.1ポイント低下し、市場予想よりも低い水準となった(添付資料表1、図1参照)。非自発的にパートタイムを選択している者などを加えた広義の失業率(注1)も7.5%で、前月から0.2ポイント低下した。なお、失業率に係る統計は年次改定がされている。

非農業部門の雇用者数の伸びは25万6,000人増と、3月以来の強い伸びとなり、市場予想(16万4,000人増) を大きく上回った。なお、10月の数値は3万6,000人増から4万3,000人増に上方改定、11月の数値は22万7,000人増から21万2,000人増に下方改定された。

新規雇用者数増の内訳をみると、民間部門は22万3,000人増、政府部門は3万3,000人増、民間部門では財部門が8,000人減だった。製造業(1万3,000人減)の減少が押し下げに寄与した。製造業は、耐久財を中心に総じて弱い動きとなっており、2024年の半数以上の月でマイナスとなった。

サービス部門は23万1,000人増だった。ヘルスケアを中心とした教育・医療(8万人増)のほか、小売業などの商業・運輸・倉庫業(4万9,000人増)、飲食店などの娯楽・接客業(4万3,000人増)、対事業所サービス(2万8,000人増)、保険会社などの金融業(1万3,000人増)など、幅広い業種でプラスとなった(添付資料表2、図2参照)。

平均時給は35.7ドル(前月35.6ドル)で、前月比0.3%増(前月0.4%増)、前年同月比3.9%増(前月4.0%増)だった。市場予想は前月比0.3%増、前年同月比4.0%増だった。業種別にみると、前年同月比では対事業所サービス(5.2%増)、情報業(4.5%増)などの伸びが目立つ。他方、製造業や商業・運輸・倉庫業など伸びが縮小している業種もあった。

今回の予想外に強い結果は、連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策にも影響を及ぼしそうだ。FRBは2024年9月以降、デュアル・マンデート(注2)のうち、労働市場の過度な減速を避けることに重点を置いて利下げを行ってきた。しかし、12月の連邦公開市場委員会(FOMC)では、労働市場の悪化懸念が緩和する一方で、一部の参加者からインフレ見通しの上振れを警戒する声が上がっており、金融政策の重点が変化しつつあることが示唆されている。今回の雇用統計の数値はこうした方向性を補強することになるとみられ、ドナルド・トランプ次期大統領の関税政策などに伴うインフレリスクに今後も注目が集まりそうだ。

(注1)失業者に加え、「現在は仕事を探していないが、過去12カ月の間に求職活動を行った者」と「フルタイムを希望しているものの、パートタイムで妥協している者」を合わせて算定した数値。

(注2)FRBには雇用の最大化と物価安定という2つの責務が課されている。

(加藤翔一)

(米国)

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