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米商務省、AI向け半導体などへの輸出管理を強化(米国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2025年1月14日 15時20分

米国産業安全保障局(BIS)は1月13日、人工知能(AI)向け半導体などへの輸出管理を強化する暫定最終規則(IFR)を発表した。官報では1月15日に公示するが、効力は1月13日から有する。バイデン政権が同日に発表したファクトシートによると、2022年10月から続く先端半導体向け輸出管理規制の強化に続くものとなっている(2024年12月3日記事参照)。

今回の規則について、BISは、悪意のある行為者の手に先端AIモデルが渡らないようにすると同時に、安全で責任ある外国の事業体が米国の最先端AIモデルにアクセスできることを目的としている。BISの発表によると、今回のIFRは大きく3つに分かれる。

1つ目は、先端コンピューティング用半導体への輸出管理規制の強化だ。先端AIモデルの開発には、大規模な先端コンピューティング集積回路(IC)が不可欠だとし、輸出管理分類番号(ECCN)で3A090.aや4A090.aに分類されるICを新たに規制対象とした。ただし、同時に、米国と同程度の輸出管理を実施している同盟国など、日本を含む18カ国・地域(注1)向けの輸出などに対しては、輸出許可取得の例外とした。また、先端コンピューティング用半導体の開発、製造、保管を目的とする輸出、先端コンピューティングICの年間総処理性能(TPP)が2,690万以下のコンピューティングの輸出なども、武器禁輸国を除いて許可取得の例外とした。そのほか、データセンター認定エンドユーザー(VEU)プログラム(2024年10月2日記事参照)を更新し、米国の同盟国などの事業体が1度の許可で、武器禁輸国を除く世界各国にデータセンターを設置できる制度(UVEU)、武器禁輸国以外の国に本社を置く事業体が武器禁輸国を除く特定の場所で、追加許可なしにデータセンターを設置できる制度(NVEU)も定めた。

2つ目は、最先端のクローズドなAIのモデルウエート(注2)に対する新たな輸出管理規制で、10の26乗以上の演算処理で訓練されたモデルウエートに適用する。さらに、米国の技術や設備で製造された先端コンピューティング用半導体を使用して米国外で生産された特定のモデルウエートに対する新たな外国直接製品(FDP)ルールを定めた。ただし、先端コンピューティング用半導体と同様、同盟国などは輸出許可例外の対象となる。また、クローズドなモデルウエートにのみ適用し、広く入手可能なモデルウエート(オープンウエートモデル)は10の26乗以上の演算処理ができても、規制の対象にならない。

3つ目は、先端コンピューティング用半導体の転用リスク軽減のため、輸出先での保管にセキュリティー条件を課す。

BISはこのIFRに対して、120日間、パブリックコメントを受け付ける。コメントは連邦政府のポータルサイト(BIS-2025-0001)から提出可能となっている。

(注1)オーストラリア、ベルギー、カナダ、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、アイルランド、イタリア、日本、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、韓国、スペイン、スウェーデン、台湾、英国の18カ国・地域。

(注2)ウエートとは、入力された値の重要性や貢献度を数値化したもの。ウエートが大きければ、学習のための特徴に関連している。

(赤平大寿)

(米国)

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