ジェトロ、ディープテック分野の起業家を英国に派遣、グローバルスケールの活躍目指す(英国)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2025年1月15日 9時20分
ジェトロは12月8~15日、日本全国の起業家を対象にしたJ-StarXのLocal to Global Successコースのうち、ディープテックに焦点を当てた欧州コース採択者19人を英国に派遣した。学生から50代までと幅広い年齢層が参加した。
国際機関の統計データを掲載する日本のグローバルノートによると、2023年に英国はベンチャーキャピタル(VC)による投資額が欧州1位となっているほか、米国の調査会社スタートアップ・ゲノムが毎年発表しているグローバルエコシステムランキングでは、2023年にロンドンが2位に位置している。世界トップレベルの大学や研究機関から生まれた技術を社会実装する仕組みづくりに取り組んでいる。
また、英国の「タイムズ・ハイアー・エデュケーション」誌による2024年世界大学ランキングによると、世界トップ5のうち2校、欧州トップ5のうち4校が英国の大学となっている。世界大学ランキングでは、オックスフォード大学が1位、ケンブリッジ大学が5位にランクインしているほか、欧州トップ5には2校に加えて、インペリアル・カレッジ・ロンドン(ICL)、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)がランクインしている。
上記のコースは研究分野の事業化スキルやグローバルな起業家マインドセットの取得を目的としており、現地ではエコシステムに関する講義やピッチコーチング、ロンドンのスタートアップ施設訪問、カスタマーインタビューなどを通して、英国市場への理解を深めた。
施設訪問では、王立工学アカデミーやICLなど、ロンドン市内の大学発スタートアップ創出拠点を訪問して担当者から説明を受け、現地の支援体制について学んだ。王立工学アカデミーでは、プレシードからグロースまで各ステージに応じたプログラムが実施されているほか、ICLはインペリアル・ホワイトシティー・インキュベーターというインキュベーション施設・ラボを構えており、ディープサイエンススタートアップに向けて研究施設を提供している。英国政府としても設備投資や研究開発に力を入れているという。
さらに、オックスフォードシャーに位置する英国最大規模のサイエンス・イノベーション・キャンパスのハーウェルを訪問し、ライフサイエンスや宇宙人工知能(AI)、量子、環境エネルギーなどの企業と、公的な研究機関が集約するハーウェル科学イノベーションキャンパスで施設に関する説明を受けた。この施設には英国政府直轄の研究機関含めて200以上の組織が存在し、キャンパスに通う研究関係者は7,000人以上という。また、ネットワーク形成のためのイベントや勉強会も開催するなど、オープンイノベーションを生み出す環境が整っている。中小規模の企業/スタートアップがスケールアップしていく機会が用意されている同施設の見学を通して、参加者からは、英国政府のディープテック分野への支援の手厚さを実感したという声があった。
ハーウェル施設の見学(ジェトロ撮影)
参加者は今回のプログラムを通して、日本と英国の支援体制の違いを学び、カスタマーインタビューを通じて、事業のブラッシュアップにつながったという。「海外進出に対する解像度が高まり、自分の事業に対する示唆が多く得られた」「ネットワーキングなど今後の役に立つようなつながりを得た」「英国ではスタートアップ熱が高いことを知った」といった声が寄せられた。
(近藤千花子)
(英国)
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