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先駆者に聞く、ウズベキスタンIT開発拠点設置の狙いと利点(ウズベキスタン、日本)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2025年1月8日 0時15分

オフショア開発拠点として注目を集めるウズベキスタン。H&K(本社:東京都新宿区)は、日本企業としていち早く開発拠点のグループ企業Uラボをタシケントに設立、顧客の開発要請に応えている。H&KとUラボ両社の代表取締役CEO(最高経営責任者)であり、同グループ内の人工知能(AI)など受託開発会社piland(本社:東京都中央区)の代表取締役会長である安藤弘樹氏にウズベキスタンでの事業展開について聞いた(2024年11月27日)。

写真 Uラボの代表取締役CEO、安藤弘樹氏(ジェトロ撮影)

Uラボの代表取締役CEO、安藤弘樹氏(ジェトロ撮影)

(問)事業概要は。

(答)日本のKARを持ち株会社とし、傘下にマーケティングや業務フローDX(デジタルトランスフォーメーション)化支援を行うH&K、AI・ソフト開発支援を行うpilandがあり、両社の開発拠点として2024年3月にタシケントに設立したグループ企業がUラボだ。日本企業から受注した基幹システム開発やAI・ソフトウエア開発を支援している。ウズベキスタンで雇用した開発人材は30人ほど。日本人は代表を含め2人が常駐し、顧客とのブリッジエンジニア(注1)やプロジェクトマネージャーなどとして活動している。エンジニアの管理や業務課題解決、地元の大学・企業との連携も行う。

写真 同社グループの模式図(H&K提供)

同社グループの模式図(H&K提供)

(問)進出のきっかけや決め手、苦労は。

(答)日本のIT人材減少に伴う採用コスト高騰や能力の高いエンジニアの独立傾向の強まりにより、レベルの高い人材の確保が難しくなってきたことで、海外での開発拠点設置を目指したのが出発点だった。複数国を比較しウズベキスタンに決めた背景は、外資企業の100%出資が可能なことと、日本からのつながりで現地に人脈を構築できたこと。特に後者は、制度が整っていないウズベキスタンでは非常に重要だ。例えば、ビザ取得やエンジニア採用は、現地政治家や現地企業社長と連携しないと困難な状況があった。

(問)人材の採用方法は。

(答)地元の大学経由やSNSグループで募集をかける。採用倍率は15倍ほど。当地の人材は真面目で仕事に前向き、能力も高く、クライアントからも高評価だ。コスト面でも、シニアクラスだと日本の半分ほどで雇用が可能。注意したいのは企業側の「採用力」(注2)だ。できないことを「できる」という求職者もいるので、当社エンジニアが求職者の書くコードを見て能力を判断している。また、フィードバックを大学側へ真摯(しんし)に伝える必要もある。卒業生が否定されたと受け取られないようにし、円滑な関係を続けるためだ。

(問)今後の展望は。

(答)さらなる海外展開も視野に入れつつ、当面はUラボの運営、組織拡大と拠点統括人材の育成に注力する。

(注1)オフショア開発で日本国内の顧客とオフショア先の橋渡しを担うシステムエンジニア。オフショア先への計画説明や設計書の作成、成果物の品質確認、進捗報告、ミーティング日時の調整などを行う。

(注2)日本採用力検定協会によると、組織および社会に有益な採用活動を設計・実行する力を指す。

(一瀬友太)

(ウズベキスタン、日本)

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