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共産党指導部の序列5位が辞任、党則違反に問われる(ベトナム)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年5月24日 11時25分

添付資料PDFファイル(215 KB)

ベトナム共産党の指導機関である中央委員会は5月16日、第9回総会でチュオン・ティ・マイ書記局常務兼中央組織委員長の辞任に合意した。事実上の更迭とみられ、マイ氏は政治局員(注)からも退く。また同日、中央委員会は新たに政治局員4人を補充する人事を決定した。

書記局常務は、ベトナム共産党最高指導部の主要四役(書記長、国家主席、首相、国会議長)に次ぐ要職で、実質的に党の序列5位に当たるとされる。ちなみに、3月にはボー・バン・トゥオン国家主席、5月にはブオン・ディン・フエ国会議長(いずれも役職は当時)が、党の規則違反を理由に同職を辞任した(2024年3月25日記事2024年5月13日記事参照)。党の要職者が相次いで辞任する異例の事態が続いている。

マイ氏は越日友好議員連盟の会長も務めており、4月の訪日時には岸田文雄首相と面会したばかりだった。トゥオン氏、フエ氏と同じく党則に違反したと報じられているが、違反内容の詳細は明かされていない。

BBCニュースは、マイ氏は次期書記長となる資格を持っていたために反汚職運動の標的にされ、辞任を余儀なくされたと報じている(BBCニュース5月19日)。書記長の資格要件は、高度な政治理論の習得や、党執行部を指導する能力、政治局員を1期以上務めることなどと、中央委員会の規則に定められている。マイ氏の失脚により、グエン・フー・チョン書記長以外にこの要件を満たす政治局員はファム・ミン・チン首相とトー・ラム公安相(5月22日に国家主席に就任)の2人だけとなった。

当初18人が選出された第13期(2021~2026年)共産党の政治局員は、反汚職運動が加速した2023年1月以降、マイ氏を含め6人の局員が辞任したことになる(添付資料表参照)。今回4人が補充されたことで、当面は16人体制で活動していく。

マイ氏の後任として、ルオン・クオン人民軍政治総局局長が書記局常務、新たに政治局入りしたレ・ミン・フン党中央官房長官が中央組織委員長を務める。クオン氏は1957年生まれで北部フート省出身。軍でキャリアを築き、2016年から人民軍政治総局局長を務め、2021年に政治局員に選出された。フン氏は1970年生まれで中部ハティン省出身。1997年に日本の政策研究大学院大学(GRIPS)の前身である埼玉大学大学院政策科学研究科を修了し、2016年にベトナム国家銀行(中央銀行)総裁にベトナム史上最年少の46歳で就任した。

(注)政治局員は、中央委員から選出される党の要職。政治局は、党大会や中央委員会の決議の実現を指導・監督し、党の活動方針や人事を実質的に決定する。

(萩原遼太朗)

(ベトナム)

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