中国外相が新年初の外国訪問でアフリカ歴訪、35年連続(中国、アフリカ、ナミビア、コンゴ共和国、チャド、ナイジェリア)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2025年1月14日 16時50分
中国の王毅・共産党中央政治局委員兼外交部長(以下、外相)は1月5~11日の日程で、ナミビア、コンゴ共和国、チャド、ナイジェリアのアフリカ4カ国を歴訪した。新年の中国外相によるアフリカ訪問は35年連続となる(2024年1月19日記事参照)。
歴訪に先立つ1月3日の記者会見で、中国外務省の毛寧(Mao Ning)副報道局長は「今回の王外相のアフリカ歴訪の目的は、前年開催の『中国・アフリカ協力フォーラムサミット(FOCAC)』で約束した『中国・アフリカ協力フォーラム北京アクションプラン(2025~2027)」の実現であり、『10大パートナーアクション』の実施に向けたアフリカ諸国との戦略的かつ実務的な2国間関係の強化だ」と述べた(2024年9月17日記事参照)。
1月6日に最初の訪問先ナミビアの首都ウィントフックで、王外相はナンゴロ・ムブンバ(Nangolo Mbumba)大統領とネトゥンボ・ナンディ=ンダイトワ(Netumbo Nandi-Ndaitwah)副大統領と会談した。ムブンバ大統領は、ナミビアは「一つの中国」政策を堅持し、FOCACの成果を積極的に実行し、貿易、教育、農業、インフラ、エネルギー資源など多分野で中国との協力強化を望むと述べた(中国外交部1月6日)。
翌7日には王外相は次の訪問先のコンゴ共和国の首都ブラザビルで、デニス・サス・ヌゲソ(Denis Sassou Nguesso)大統領と会談し、「中国は、国際情勢においてコンゴ共和国が果たしている独自の役割を評価しており、アフリカが平和と安定を達成するために、コンゴ共和国と緊密に協力し、平等で秩序ある多極世界と包括的な経済を提唱していきたい」と述べた。また、両者はさらなる包括的戦略パートナーシップの強化により「新時代の全天候型中国・アフリカ運命共同体の共同構築に関する北京宣言」のモデルとなる2国間連携を進めることで合意した(中国外交部1月8日)。
王外相はその後、8日にチャドの首都ンジャメナを訪れ、マハマト・イドリス・デビ(Mahamat Idriss Deby)大統領(2024年5月20日記事参照)と会談した。デビ大統領は「チャドは、中国が領土保全を守って国家統一を達成することを支持し、内政干渉に断固反対する。中国は世界の公平性と正義を守り、紛争の解決に建設的な役割を果たすことに尽力しており、チャドは中国との意思疎通と連携を強化し、共通の利益を守る用意がある」と述べた(中国外交部1月8日)。なお、会談の数時間後、24人の武装集団が大統領官邸を襲撃する事件が起きたが、事件の詳細は分かっていない。襲撃事件を受け、王外相はチャドの安全と安定の維持を支援するとの声明を出した(中国外交部1月9日)。
王外相は9日、最後の訪問先のナイジェリアの首都アブジャで、ボラ・ティヌブ(Bola Tinubu)大統領と会談をした。会談後の記者会見で、王外相は2024年9月のティヌブ大統領の中国公式訪問での合意内容の1つの通貨スワップ協定(2024年9月19日記事参照、注)について、「拡大要請を前向きに検討する」と述べた。
歴訪を終えた王外相は1月10日、「中国の外相は、毎年新年にアフリカを訪問する。この伝統は継続されるものだ。今回の訪問中、「一つの中国」政策の堅持をあらためて表明したアフリカのパートナーたちは、公正かつ合理的な国際システムの構築を推進する上での同盟国でもあり、最終的には国際情勢における中国の最強の支援者となり、中国を優先的かつ重要な位置に導くだろう」とコメントし、中国とアフリカがグローバルサウスとして連携することで、国連安全保障理事会の改革問題など、現行の国際規範の変革を目指すことを強調した(中国政府発表1月10日)。
なお、ボストン大学グローバル開発政策センターのデータベースによると、中国の対アフリカ融資額は、2020年以降の新型コロナウイルス禍で減少傾向が続いていたが、2023年に7年ぶりに前年比で増加し、46億900万ドルを記録している。
(注)スワップ協定とは、金融危機の際などに、協定を結んだ相手国と一定のレートで協定相手国の通貨を融通し合う枠組み。
(吉川菜穂)
(中国、アフリカ、ナミビア、コンゴ共和国、チャド、ナイジェリア)
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