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米エネルギー省、オーストラリア電池材料大手ノボニックスのテネシー州人工黒鉛製造施設建設に7.5億ドル融資確約(米国、オーストラリア)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年12月24日 0時40分

電池材料大手のノボニックス(本社:オーストラリア・クイーンズランド州)は12月16日、米国の子会社を通じ、米国エネルギー省(DOE)の先進技術自動車製造(ATVM)融資プログラムから、条件付きで最大7億5,480万ドル(元本6億9,200万ドル、資本利子6,280万ドル)の融資の確約を受けたと発表した。

今回の融資は、テネシー州チャタヌーガに建設を予定し、主に電気自動車(EV)用電池のための人工黒鉛製造施設新設の資金の一部に充てられる。発表によると、新施設はフル稼働時には年間約3万1,500トンの人工黒鉛生産が見込まれ、これは年間約32万5,000台分のEV用リチウムイオン電池生産を支えるものだという。2028年末までにフル稼働の予定で、450人のフルタイム雇用、500人の建設雇用の創出を見込む。その後、需要と追加融資の状況に応じて、生産目標を年産7万5,000トンに拡大する計画だ。ただし、この条件付き確約はDOEが融資する意向を示したもので、DOEが最終的な融資文書を作成して融資を実行する前に、同社は一定の技術的、法的、環境的、財務的条件を満たす必要がある。

同社の最高経営責任者(CEO)クリス・バーンズ博士は「今回の発表は長年の努力の集大成で、当社の負極材事業にとって、北米での年産15万トンという目標に向けた新たな重要な節目になる。政府によるこの条件付き確約は、黒鉛のようなバッテリーサプライチェーンで重要材料の国産化に焦点が当たっていることを明示し続けるものだ。バッテリーグレード黒鉛の対米輸出精査を強化するという中国の最近の発表(注1)は、バッテリー用高性能人工黒鉛の米国内での生産の重要性を浮き彫りにしている。強力なパートナーとの当社のオフテイク契約(注2)は、北米で人工黒鉛サプライチェーンのオンショア化のリーダーシップを強化し、米国のエネルギー自立への道を支援するものだ」と述べた。

なお、同社がチャタヌーガに建設中のもう1つ製造施設のリバーサイド施設は、2025年に商業生産を開始し、北米初のバッテリー用高性能人工黒鉛の大規模生産施設となる予定だ。既存の顧客需要に対応するため、年産2万トンを計画している。また、同施設に関しては、2023年10月にDOE傘下の製造およびエネルギーサプライチェーン局(MESC)から1億ドルの助成金を獲得したほか、2024年1月には、施設の資金調達に向けた1億300万ドルの投資税額控除の対象に選ばれている。

DOEによると、北米には大規模なバッテリーグレードの人工黒鉛製造設備がなく、米国内の自動車サプライチェーンとクリーンエネルギーサプライチェーンの両方に顕著な需給ギャップを生じさせているという。

(注1)中国商務部は12月3日、一部の両用品目(民間と軍事の両方の用途で使用できる貨物や技術、サービスなど)を対象とした対米輸出管理強化を決定する公告(商務部公告2024年第46号)を発表した。黒鉛の両用品目の対米輸出に対し、エンドユーザーや最終用途について、より厳格な審査を実施するとしている(2024年12月6日記事参照)。

(注2)ノボニックスは2024年、パナソニックエナジー(2024年2月16日記事参照)、大手自動車メーカーのステランティス、ドイツのフォルクスワーゲン(VW)の車載バッテリー事業子会社パワーコーの3社と、人工黒鉛を供給する拘束力のあるオフテイク契約を締結した。

(横山華子)

(米国、オーストラリア)

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