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欧州委、森林破壊防止デューディリジェンス規則の適用開始に向け準備進める(EU)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年3月27日 0時20分

EUでは、森林破壊防止のためのデューディリジェンス義務化に関する規則が2024年12月30日から大企業に、2025年6月30日から中小企業に対して適用が開始される(2023年6月13日記事参照)。ジェトロは2024年3月7日、同規則の適用開始に向けた状況について欧州委員会の担当者にヒアリングを行った。

同規則は、パーム油や牛肉、木材、コーヒー、カカオ、ゴム、大豆とこれらの派生製品をEU域内に上市(市場投入)、供給、またはEUから輸出する全ての事業者、貿易事業者に対して、当該産品が森林破壊によって開発された農地で生産されていないことを確認するデューディリジェンスの実施と報告を義務付けるもの。

欧州委は現在、同規則の適用開始に向けて準備を進めており、事業者向けに専用ウェブサイトを通じて履行に関する情報発信を行っている。欧州委が随時更新しているFAQ(よくある質問)には、2023年12月時点で86件の質問を掲載している。また、欧州委の共同研究センター(JRC)では「森林破壊と森林劣化に関するEU観測所」を開設し、世界の森林地図や森林関連情報、産品のサプライチェーンに関する科学的情報などを提供し、事業者や消費者などが参照できる森林破壊に関する補足情報を提供している。

同規則では、事業者は対象製品に関するデューディリジェンス宣言書を域内に上市する前に加盟国当局に提出することが求められる。欧州委はデューディリジェンス宣言書の提出先となる情報システムを2024年12月30日までに構築する予定だが、情報システムのパイロット版の検証を2024年1月末まで実施して、約100の企業や団体などのステークホルダーが参加した。欧州委は、情報システムの構築は順調に進んでおり、2024年の夏には、情報システムに関する研修を実施し、ユーザーマニュアルなども整備する予定とした。

さらに、同規則の履行にあたって欧州委は、EU内外の国や地域の森林破壊・森林劣化に関するリスクを「高・標準・低」の各レベルに区分するベンチマーク制度を導入し、事業者や加盟国当局が検査や管理を実施する具体的な義務のレベルを決定する。規則の施行時は全ての国を「標準」に設定し、欧州委が2024年12月30日までに「高・低リスク国」のリストを実施規則により定めることとなっている。欧州委によると、ベンチマーク制度についてはまだ整備中で、2024年半ばには暫定リストを公表する予定とした。特に「高レベル」に分類される見込みの国とは、域外国からの参加も可能となっているマルチステークホルダー・プラットフォームや政府間との対話を通じて、同規則のスムーズな適用に向けて、理解と協力を呼びかけていると強調した。

(土屋朋美)

(EU)

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