米FRB、利下げと労働市場の関係やバランスシート縮小ペース見直しに言及(米国)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年3月22日 14時45分
米国連邦準備制度理事会(FRB)が3月19~20日に開催した連邦公開市場委員会(FOMC)では、政策金利の維持やFOMC参加者による長期見通しなどを示した(2024年3月22日記事参照)。FOMC後の記者会見では、ジェローム・パウエル議長が経済認識や金融政策の方向性について、より詳細な説明をした。
経済認識については、前回からの変更点は労働市場がやや改善していることのみで、基調に大きな変更はなかった(添付資料表参照)。ただし、このところのインフレ率に関する認識では、質疑の中で記者の質問に答えるかたちで補足説明をしており、「ここ2カ月の(上振れの)傾向が一時的なものなのか、それ以上のものなのか、われわれは真にはわからないため、注意深く見ていきたい」としている。
金融政策の中でも利下げに関しては、議会証言(2024年3月7日記事参照、2024年3月8日記事参照)とほぼ同様だった。議会証言では、利下げと労働市場との関係について質問されたが、今回も同様に、両者の関係を問う質問が記者からなされ、これに答えるかたちで補足説明している。この中では「労働市場の大幅な弱まりは利下げ理由になり得る」とする一方、「(雇用の強さは供給サイドの拡大によるところも大きいことや、前年は強い雇用情勢の下でもインフレが鈍化したことなどから)現在の労働市場の強さそのものは、利下げを見送る理由にはならない」として、現時点では、労働市場の強さ自体はFRBが現在想定する道筋を進む上での問題にはならないとの認識を示した。
金融政策のうち、金融引き締めの一環として行っていたFRBのバランスシートの縮小(量的引き締め)については、そのペースを鈍化させることを今会合で議論したと明らかにし、今会合で何らかの決定をすることはなかったものの、かなり早い時期に縮小ペースを鈍化させることが適切との認識を示した。今後、そのペースやあるべき資産構成についての議論が本格化していくことが予想される。
(加藤翔一)
(米国)
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