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ミレイ大統領、国民向け演説で政権2年目の取り組みに言及(アルゼンチン)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年12月19日 0時20分

アルゼンチンで12月10日に国民に向けて行われたハビエル・ミレイ大統領の演説で(2024年12月19日記事参照)、政権発足から2年目を迎えたミレイ政権の今後の取り組みについても言及した。

税制については、国税を90%削減するとした。就任1年目は個人資産税の引き下げや、不動産譲渡税、外貨購入に課税される「社会的包摂の促進と資金調達のための外貨購入に係る税」(通称:パイス税)の廃止などを行ったものの、農作物や畜産物、鉱物の輸出に課税される輸出税には触れなかった。一方で、今後については、どのように国税を削減するのかは明らかにされなかった。

為替政策については、公式為替レートと並行為替レートは徐々に一本化に進んでおり、その先に資本取引規制の撤廃があるとし、中央銀行による外貨準備高の蓄積、IMFによる新たな支援、民間投資家との合意といった条件が整えば、2025年中に撤廃できるとした。また、通貨選択の自由の実現を掲げ、売買代金の決済に用いる通貨を自由に選択できるようにするとした。これは通貨間の競争を意味し、通貨の自由な選択の先にミレイ大統領が選挙公約で掲げた中銀の廃止があるとしている。

通商政策に関しては、メルコスールの改革と米国との自由貿易協定(FTA)の締結を掲げた。メルコスールの対外共通関税を撤廃するとともに、加盟国が単独で通商協定を交渉、締結できるような体制を構築すべきだとした。その結果として、2025年に米国とのFTA締結を目指すとした。

歳出削減と行政改革では、公共支出の削減を進めるためにも、国家機関の廃止を継続し、小さな政府を実現するとした。

経済政策については、大型投資奨励制度(RIGI)による投資の積み増しを期待しつつ、アルゼンチンを人工知能(AI)技術のハブとして機能させ、同技術への需要の高まりに対応するエネルギー源として、新しい原子炉の建設、小型炉やモジュール炉技術の研究を含む原子力計画を策定するとした。

治安対策では、米国の組織犯罪規正法(RICO法)を引き合いに出し、国会に提出済みの組織犯罪取締法、国境を接するメルコスール諸国と連携した対麻薬・テロ組織の創設、刑事責任年齢の引き下げ、連邦警察の連邦犯罪捜査組織への改組を掲げた。

最後に、2025年に上院議員の3分の1、下院議員の半分の議席を改選する中間選挙が2025年10月に実施されることにも触れ、過去の政権のように選挙年に財政支出を拡大するようなことはせず、歳出削減と減税によって民間部門に資金を還元しつつ、改革のアジェンダをテーブルに乗せ、国民がどのような国を望むかを選択できるようにするつもりだとした。

(西澤裕介)

(アルゼンチン)

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