日アフリカ官民経済フォーラム、アフリカ各国の閣僚が登壇(コートジボワール、アフリカ、日本)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年12月26日 1時5分
「第3回日アフリカ官民経済フォーラム」(注)が12月16日、コートジボワールのアビジャンで開催された(2024年12月19日記事参照)。
特別セッションでは、アフリカ諸国の閣僚が、各国の投資環境改善への取り組みや投資の魅力についてプレゼンテーションをした。各国の主なプレゼン内容は次のとおり。
中央アフリカ共和国(チエリー・パトリック・アコロザ貿易産業相、Thierry Patrick AKOLOZA):現在わが国は原材料の輸出にとどまっている。産業関連の法整備、輸出促進、失業対策に取り組み、外国投資誘致のためビジネス環境整備に取り組んでいる。
ギニア(イスマエル・ナベ計画・国際協力相、Ismael NABE):ボーキサイト、金、鉄などの天然資源が豊富にあるギニアで、日本企業には重点産業である鉱山業に参画し、技術移転に寄与してほしい。公衆衛生、教師育成の分野も共に進めていきたい。
ギニアビサウ(ソアレシュ・サンブ副首相、Soares SAMBU):ボーキサイトやリン鉱石の採掘はわが国の産業化と産業多様化を支える。また、これら鉱物輸出は、サプライチェーン強化、アフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)のような域内貿易、ギニアビサウとセネガルの道路結合計画に代表されるようなモビリティ改善などをもたらす。日本企業には、アフリカの経済統合を推進するギニアビサウのグリーン移行やブルーエコノミーへの投資を勧める。
スーダン(ジブリール・イブラヒーム・ムハンマド財務・経済計画相、Gibril Ibrahim MOHAMED):東西アフリカのコネクティビティ(接続)への投資が必要。スーダンとダカール港が戦略的道路で結ばれれば、ナイジェリアやカメルーンなど近隣地域も、紅海とのアクセスの恩恵を受ける。
マラウイ(イブラヒム・マトラ・エネルギー相、Ibrahim MMATOLA):マラウイの電化率は2030年までに25%への改善を掲げており、水力発電や再生可能エネルギー分野における国際協力機構(JICA)の支援は日本との強い連携の一例。東南部アフリカ市場共同体(COMESA)の一員として、マラウイから南部アフリカへの道路建設など、アフリカ大陸の統合とコネクティビティに寄与し、欧州・中東へのアクセス改善も見据えたい。
モーリタニア(コディオロ・ムッサ・ンゲノレ経済・財務相付予算担当相、Codioro Moussa N‘GUENORE):世界でトップクラスの太陽光発電と西アフリカ最大級の漁獲量を誇るモーリタニアにおいて、日本の投資と技術移転により持続可能な開発を望む。
モーリシャス(ハンビラジェン・ナーシンゲン副外務相、Hambyrajen NARSINGHEN):ナビン・ラングーラム新政権(2024年11月26日記事参照)から日本の皆様へごあいさつをするとともに、アフリカ開発会議(TICAD)が国際協力の模範になっていることを強調したい。ビジネス環境と通貨の安定から、先の読めるエコシステムを構築し、さらなる海外からの投資誘致を目指す。海洋の安全保障、国際法の順守がなければ安定した投資は不可能であり、アジア太平洋の安全保障においても一助となりたい。TICADプロセスへ寄与し、われわれが望むアフリカを創っていく。
リベリア(ウィルモット・リーブス副商務相、Wilmot A REEVES):鉄鉱石、石炭、石油のほか、50%が手つかずの熱帯雨林など豊富な資源をチャンスに変えたい。日本の技術とイノベーションをもって、衛生システム改善、水処理、ヘルスケアなどの分野で、技術移転や人材育成での協業関係にも参画してほしい。
なお、日本からは外務省の松本尚政務官が登壇し、2025年に控える第9回アフリカ開発会議(TICAD9)と大阪・関西万博へのアフリカからの参加を呼びかけた。
中央アフリカ共和国、アコロザ貿易産業相(ジェトロ撮影)
TICAD9を紹介する松本政務官(ジェトロ撮影)
(注)日アフリカ官民経済フォーラムは、2016年の第6回アフリカ開発会議(TICAD6)での安倍晋三首相の開催表明のもと、日本政府が主導し、アフリカ側開催国、ジェトロで共同開催している。第1回を2018年に南アフリカ共和国で、第2回は2021年12月に分科会をオンラインで、2022年5月に全体会合をケニアで開催した。
(吉川菜穂)
(コートジボワール、アフリカ、日本)
外部リンク
- アフリカのワーカー月額賃金は世界最低水準、アディスアベバ16ドル、ラゴス31ドル(世界、エジプト、エチオピア、ケニア、コートジボワール、ナイジェリア、南アフリカ共和国、モロッコ、モザンビーク、ガーナ)
- 2024年度アフリカ投資コスト比較調査、現地通貨下落がドル建てコストに影響(エジプト、エチオピア、ケニア、コートジボワール、ナイジェリア、南アフリカ共和国、モロッコ、モザンビーク、ガーナ)
- 日アフリカ官民経済フォーラム開催、日本・アフリカから100社以上参加(日本、コートジボワール)
- 再生可能エネルギー設備・機材の免税対象品目リストが発効(コートジボワール)
- S&P、コートジボワールの格付けをBB-からBBに引き上げ(モーリシャス、ボツワナ、コートジボワール、南アフリカ共和国)
- サブサハラ・アフリカの2024年成長率は3.6%、物価上昇は18.1%、IMF予測(エチオピア、コートジボワール、ナイジェリア、南アフリカ共和国、ガーナ)
- アフリカ経済開発会合、IDA第21次増資支援と投資戦略について議論(コートジボワール)
- バレン油田開発、第2フェーズに向けてFPSOが到着(イタリア、コートジボワール)
- サブサハラ・アフリカで紛争や抗議デモ発生も、2024年は3%成長の見通し(スーダン、ケニア、コートジボワール、南アフリカ共和国)
- 世界銀行「ビジネス環境」報告書、ルワンダが「業務効率」で50カ国中3位(世界、モーリシャス、ルワンダ、レソト、ボツワナ、コートジボワール、タンザニア、モロッコ、ガーナ)
この記事に関連するニュース
-
日タイ官民自動車ビジネスフォーラムが開催、エネルギー・産業対話(EID)の早期開催に期待(タイ)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2025年1月22日 0時25分
-
「日・サウジ・ビジョン2030閣僚ラウンドテーブル」がリヤドで開催(サウジアラビア、日本)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2025年1月17日 0時0分
-
モーリタニア・セネガル海域をまたぐ海底ガス田が始動(モーリタニア、セネガル)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2025年1月16日 0時45分
-
2025年成長率はアフリカが上位、モーリタニアは世界2位、リビア3位、セネガル4位(アフリカ、モーリタニア、リビア、セネガル、南アフリカ共和国、エジプト、ナイジェリア)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2025年1月14日 10時0分
-
アフリカの成長率は2024年に3.4%、2025年に3.7%の予測、債務残高は過去最高、国連報告書(アフリカ、南アフリカ共和国)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2025年1月10日 13時10分
ランキング
-
1トランプ氏が「米のガザ所有・復興」提案 住民の恒久的移住を支持
ロイター / 2025年2月5日 12時26分
-
2米CIA、全職員対象に早期退職募集=関係筋
ロイター / 2025年2月5日 13時45分
-
3日本人女性殺害容疑で元夫逮捕=子の帰国巡りトラブルか―ハンガリー
時事通信 / 2025年2月5日 9時5分
-
4ギリシャの観光地サントリーニ島で地震700回以上 観光客ら避難
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2025年2月4日 21時16分
-
5トランプ氏の放水命令で数十億リットルの水が無駄に 専門家
AFPBB News / 2025年2月5日 12時32分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください