2025年成長率はアフリカが上位、モーリタニアは世界2位、リビア3位、セネガル4位（アフリカ、モーリタニア、リビア、セネガル、南アフリカ共和国、エジプト、ナイジェリア）

国連経済社会局は1月9日に発表した報告書「2025年の世界経済情勢と展望」で、アフリカの経済成長率（推定値）が2024年の3.4％、2025年の3.7％から、2026年には4.0％に拡大すると予測した（2025年1月10日記事参照）。世界全体の2025年の成⻑率は2.8％にとどまるとの予測のため、アフリカ各国は世界の成長率を大幅に上回る見込みだ。

国別の成長率予測をみると、2025年は南米のガイアナが15.8％で世界1位だが、モーリタニアが9.5％で2位、リビアが8.6％で3位、セネガルが7.9％で4位、ルワンダが7.5％で5位と、アフリカの国々が続いた。また、アフリカで経済規模の大きい国でも、エチオピア、コートジボワール、タンザニアなどで6％以上の高い成長を見込む。特に東アフリカは、国内需要の拡大や観光産業の回復により、成長が見込まれるという。主要国では、エジプトでアラブ首長国連邦（UAE）からの大型投資、ナイジェリアで燃料補助金廃止や通貨下落の影響の一服、南アフリカ共和国で電力不足緩和などにより、経済が緩やかに回復する見通しだという。

アフリカ主要国の2025年の経済成長率見通しは次のとおり（かっこ内は2026年の予測値）。

エジプト：3.3％（4.2％）
ナイジェリア：3.5％（3.8％）
南アフリカ共和国：1.4％（1.7％）
アルジェリア：3.7％（3.6％）
モロッコ：3.2％（3.4％）
エチオピア：6.4％（6.9％）
ケニア：5.2％（5.2％）
アンゴラ：3.1％（3.5％）
タンザニア：6.0％（5.8％）
ガーナ：4.4％（5.1％）
コートジボワール：6.4％（6.2％）
コンゴ民主共和国：6.5％（6.4％）

なお、日本は2024年マイナス0.2％、2025年1.0％、2026年1.2％にとどまり、低成長の予測だ。

アフリカは課題多いが、インフレは緩和傾向に

一方で、同報告書によると、アフリカでは、債務残高の増加や、地域統合の進捗の停滞、干ばつなどの気候変動リスク、高い失業率、貧困率の上昇、インフレなど、課題も多い。インフレ率について見ると、アフリカでは2025年は12.6％となり、開発途上国の5.1％、先進国の2.2％と比べて高騰している。

アフリカ全体では、2026年も高いインフレ率の見込みだが、緩和傾向との予測だ。アフリカ全体のインフレ率の推移は次のとおり。

2019年：9.1％
2020年：12.2％
2021年：10.1％
2022年：13.7％
2023年：16.6％
2024年：16.1％
2025年：12.6％
2026年：9.9％

2025年のインフレ率を国別に見ると、アフリカの中では、紛争中のスーダンの131.8％で最高、主要国ではアンゴラが24.4％、ナイジェリアが23.5％と高い。その他、エジプト、エチオピア、ガーナなどでは、通貨下落などの影響もあって前年よりは落ち着くものの、インフレが10％を超える見込みだ。

（井澤壌士）

（アフリカ、モーリタニア、リビア、セネガル、南アフリカ共和国、エジプト、ナイジェリア）