韓国のアルコ、米フォードのテネシー州EV関連施設近郊に部品製造施設設立へ(米国、韓国)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年12月25日 0時50分
米国テネシー州のビル・リー知事(共和党)は12月17日、韓国アルミニウムメーカーのアルコ・グループ系列会社のアル・マテリアルズ・アメリカが同州マディソン郡ジャクソンを米国初の製造施設の立地場所に選定したと発表した。3,630万ドルを投じ、55人を新規雇用する予定だ。
新施設では、米国フォード・モーターと韓国SKオンの合弁企業ブルーオーバルSKが隣接するヘイウッド郡に56億ドルを投じて、電気自動車(EV)とEVバッテリー製造施設などを建設中の「ブルーオーバルシティー」(2021年9月29日記事参照、注1)向けに、アルミ製バッテリーケーシングを製造する。同グループ関係者によると、アルミ押出成型から加工、組み立てまで米国内一貫生産が可能で、インフレ削減法(IRA)の製造税額控除基準を満たす品目として認定される利点も期待される(韓国紙「毎日経済」2024年3月26日)。
アルコ・グループは1956年に設立され、6つの系列会社(注2)で全世界に約4,500人の従業員を擁する。アル・マテリアルズは自動車や船舶、鉄道用などの軽量化部品の開発・生産、650ミリメートルのアルミ押出形材などを扱う。同グループは2024年3月、アル・マテリアルズ・アメリカを通じ、ブルーオーバルSKにモジュールケース・プロテクトフレーム(注3)を供給する契約を2026~2030年の5年間、総額6億140万ドルで締結した。ブルーオーバルSKは2025年後半からブルーオーバルシティーで、フォードのオハイオ組立工場で製造される新型商用EVバン向けのバッテリーセルを製造する予定だ。このバッテリーセルは、ブルーオーバルシティーで組み立て予定のフォードの次世代EVトラックや、将来の新興技術を用いたEV車両にも供給されるという。
テネシー州経済開発庁(TNECD)のスチュアート・マクホーター長官は「われわれは、テネシー州を故郷と呼ぶ韓国企業と素晴らしい関係を築いており、2019年以降、韓国は州の第1の外国直接投資パートナーに台頭している」と述べた。また、アルコ・グループのパク・ドボン会長は「グループを代表し、テネシー州への戦略的投資を発表できることをうれしく思う。このパートナーシップは、成長と成功への互いのコミットメントを強調するもので、テネシー州政府の貴重な支援と協力に深く感謝する」と述べた。
なお、フォードは2024年4月にブルーオーバルシティーでの次世代EVトラックの生産開始時期を2026年に後ろ倒しすることを発表(2024年4月9日記事参照)した後、2024年8月に製品群の見直しを含む新たな電動化戦略を発表(2024年8月28日記事参照)する中で、さらに2027年後半に延期することを発表している。
(注1)米エネルギー省は12月16日、ブルーオーバルSKの新施設建設に最大96億3,000万ドルの直接融資の実行を発表した。テネシー州の1施設、ケンタッキー州の2施設が対象。
(注2)現代アルミニウム、コガンアルミニウム、アルテック、KPTU、現代アルミニウム・ビナ、アルテック・ビナの6社。これら企業の製品はディスプレー機器やモバイル機器、自動車、船舶、太陽電池モジュールフレーム、二次電池ケース、アルミ板、カーテンウォール、構造フレームなど、さまざまな産業で利用されている。
(注3)EV用バッテリーセルを保護する構造の装置。
(横山華子)
(米国、韓国)
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