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スリランカで民間債権者への債務再編を実施、フィッチは同国格付けを「デフォルト」から引き上げ(スリランカ)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年12月25日 0時5分

スリランカ政府は12月13日、同国の元本総額125億5,000万ドルのソブリン債(注1)のうち96%について、債権者が再編に同意したと発表した。政府によると、20日前後には11種類の旧債券のうち90%以上の債権者が再編に同意した10債券が新債券に交換され、同国の対外債務で最大の割合を占める民間債権者への債務の大部分が成功裏に再編された。

政府は、9月に主要な海外民間債権者で構成する「アドホック・グループ・オブ・ボンドホルダーズ」との間で、基本的な再編条件について合意し、10月には日本、フランス、インドが主導する債権国会合やIMFから再編条件への確認を得た(2024年10月8日記事参照)上で、11月25日に全てのソブリン債の債券保有者に対して、新たな債券への交換について同意を求めていた。

債務再編の完了を受け、格付け大手のフィッチは12月20日、スリランカ政府の長期外貨建て発行体格付けを「RD」から「CCC+」に引き上げたと発表した(注2)。フィッチは引き上げの理由について、債券交換による債権者との関係正常化や、公的債権者との債務再編完了(2024年7月4日記事参照)、債務支払期限繰り延べによる対外金融の改善などを挙げた。

格付け大手のムーディーズも11月28日、新債券を「Caa」と格付けし、スリランカ政府の長期外貨建て発行体格付けについて、「Ca」から格上げ方向で見直しを進めると発表している(注3)。

同国は外貨不足によって2022年春に対外債務不履行に陥り、国際的信用の低下が現地日系企業の操業環境にも影響していた(2023年12月25日記事参照)。今回の債務再編の完了を通じ、「デフォルト(債務不履行)」状態から脱却することで、金融決済環境の改善が期待される。

なお、スリランカの債務再編過程では、債権者のハミルトン・リザーブ・バンク(Hamilton Reserve Bank)が米国のニューヨーク連邦地方裁判所にスリランカ政府を相手取り、自身の投資財産の保護を求めた訴訟を展開していた(2024年3月29日付地域・分析レポート参照)が、同地裁が審理をたびたび延期したため、現時点では同訴訟による債務再編交渉への影響は限定的となっている。

(注1)ソブリン債とは、国債や政府機関債など各国政府や政府機関が発行または保証する債券の総称のこと。

(注2)フィッチは、「一部債務不履行(Restricted default)」を「RD」、「相当重大な信用リスク」を「CCC」として格付けている。

(注3)ムーディーズは、「非常に投機的で、デフォルトに陥っているか、あるいはそれに近い状態にあるが、一定の元利の回収が見込める債務」を「Ca」、「投機的で安全性が低いとみなされ、信用リスクが極めて高い債務」を「Caa」と格付けている。

(大井裕貴)

(スリランカ)

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