注目国2位の南ア、黒字割合は域内最高、アフリカ進出日系企業実態調査(南アフリカ共和国、アフリカ)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年12月26日 13時35分
ジェトロは12月12日、「2024年度 海外進出日系企業実態調査(アフリカ編)」を公表した。アフリカ21カ国に進出する日系企業267社(20カ国、223社より有効回答)に対して、活動実態に関するアンケート調査を2024年9月4~24日に実施し、取りまとめた(2024年12月12日記事参照)。
2024年の営業利益見込みついて黒字と回答した割合は、アフリカ全体で59.8%だ。国別の黒字割合は、前年同様に南アフリカ共和国が最高で、前年比4.4ポイント減の81.6%だ。ジェトロが他地域でも実施した同様の調査と比べても、黒字割合が高い〔「2024年度 海外進出日系企業実態調査(世界編)」〕参照。
南ア進出済みの日系企業では、今後1~2年の事業展開について「拡大」と答えた割合が54.2%だった。拡大の理由(複数回答可)については「現地市場ニーズの拡大」が44.0%、「輸出の増加」が40.0%などで割合が高い。
魅力は南アと周辺国の市場規模や成長性
南アでの投資環境面での魅力(複数回答可)は、「所在国の市場規模/成長性」が77.8%で最多で、「周辺国の市場規模/成長性」が53.3%で続いた。南アと周辺国を含む南部アフリカ開発共同体(SADC)において、関税が無税になる枠組みも利用される。また、アフリカ進出において、第三国企業との連携としてパートナーとなりうる企業は「フランス」企業が最多だが、南ア企業は2位だ。南ア企業と組んでアフリカ諸国への展開もある。
アフリカ進出済みの日系企業の今後の注目国をみると、前年3位の南アが2位に浮上した(1位はケニア)。南アで有望視するビジネス分野(複数回答可)は、「資源・エネルギー」が53.3%で最多、「消費市場」が44.4%、「インフラ」が33.3%で続いた。南アにおける注目点(自由記述型式)としては、電力、小売業、オフィス機器、市場規模、事業環境、製造拠点、内需、為替、金融政策、地下資源、宅配需要、ヘルスケア、重工業などが挙げられた。
南アの課題は不安定な政治・社会情勢など
南アの日系企業の投資環境面での課題(複数回答可)は、「不安定な政治・社会情勢」が91.7%、「インフラの未整備」が75.0%、「規制・法令の整備、運用」が58.3%だった。一方、投資環境面で改善した点として、インフラが47.7%、政治・社会情勢が29.8%となり、改善した部分も見られる。
なお、日系企業は市場規模や成長性に期待を示しているが、IMFによると南アの経済成長率は2024年に1.1%、2025年に1.5%と低成長の予測だ(2024年10月23日記事参照)。
また、南ア進出の日系企業拠点数は2023年にアフリカで最多の255社だが、2019年と比べて17拠点減だった(「日本企業のアフリカへの進出動向、拠点数は増加傾向」参照)。南アはアフリカでは自動車組立台数が最多で、自動車関連の進出も多い〔「自動車販売・生産、日本からの輸出動向(アフリカ)」参照〕。
貿易をみると、日本の南ア向け輸出は自動車が多く、日本の南アからの輸入は白金族の金属などだ(2024年7月30日記事参照)。
(井澤壌士)
(南アフリカ共和国、アフリカ)
外部リンク
- アフリカのワーカー月額賃金は世界最低水準、アディスアベバ16ドル、ラゴス31ドル(世界、エジプト、エチオピア、ケニア、コートジボワール、ナイジェリア、南アフリカ共和国、モロッコ、モザンビーク、ガーナ)
- 2024年度アフリカ投資コスト比較調査、現地通貨下落がドル建てコストに影響(エジプト、エチオピア、ケニア、コートジボワール、ナイジェリア、南アフリカ共和国、モロッコ、モザンビーク、ガーナ)
- 横浜発、南アフリカ共和国の「今」を知るセミナー開催(日本、南アフリカ共和国)
- 2024年成長率はトルコで3.5%、イスラエル、サウジアラビア、南アでは世界全体を下回る、OECD予測(イスラエル、サウジアラビア、トルコ、南アフリカ共和国)
- 南ア、COP29で開発途上国の財政負担軽減を求める(ロシア・中央アジア・コーカサス、アゼルバイジャン、南アフリカ共和国)
- トランプ米次期大統領、BRICS諸国に100%の関税賦課を示唆、米ドル依存軽減を牽制(インド、中国、米国、ブラジル、ロシア、アラブ首長国連邦、イラン、エジプト、エチオピア、南アフリカ共和国)
- 南ア、12月1日からアフリカ初のG20議長国に就任(南アフリカ共和国)
- 南ア、トランプ米次期政権との緊密な協力望むも、貿易への懸念は強く(米国、南アフリカ共和国)
- S&P、コートジボワールの格付けをBB-からBBに引き上げ(モーリシャス、ボツワナ、コートジボワール、南アフリカ共和国)
- インドネシアがBRICS加盟の意向を表明、国内からは加盟に懐疑的な声も(インド、インドネシア、タイ、中国、マレーシア、ブラジル、ロシア、南アフリカ共和国)
この記事に関連するニュース
-
UAE、営業利益見込みの黒字割合は域内最高で注目国2位、中東進出日系企業実態調査(アラブ首長国連邦、中東)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2025年1月7日 0時10分
-
注目国1位はサウジアラビア、中東進出日系企業実態調査(サウジアラビア、中東)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年12月27日 0時5分
-
注目国1位はケニア、アフリカ進出日系企業実態調査(ケニア、アフリカ)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年12月26日 13時30分
-
中東進出日系企業、地政学的影響受けるも、営業黒字の企業比率は2年連続過去最高(中東)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年12月18日 14時35分
-
中南米進出日系企業実態調査、現地市場の需要増で業績改善(中南米、アルゼンチン、コロンビア、ブラジル、ベネズエラ、ペルー、メキシコ)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年12月17日 15時50分
ランキング
-
1氷点下のソウルで大統領拘束、「尹錫悦を守る」叫んだ支援者「ああ」とため息…「終わった」歓声も
読売新聞 / 2025年1月15日 13時27分
-
2韓国大統領、取り調べで沈黙守る 録画も拒否=捜査当局
ロイター / 2025年1月15日 16時47分
-
3拘束の韓国大統領が談話「残念ながらこの国の法はすべて崩れた」「流血を防ぐため応じた」
読売新聞 / 2025年1月15日 11時52分
-
4韓国の尹大統領、内乱容疑で拘束 戒厳令巡り現職初、警護庁対峙も
共同通信 / 2025年1月15日 11時13分
-
5アサド政権崩壊で、もうシリア難民に保護は不要?...強制送還を求める声に各国政府の反応は?
ニューズウィーク日本版 / 2025年1月15日 14時17分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください